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  • 空き家対策ガイドライン改正
    空家法基本指針とガイドラインの改正ポイントをわかりやすく解説
    空家法(空家等対策の推進に関する特別措置法)の「基本指針」と「ガイドライン」が、2021年6月30日に改正されました。改正の目的は、空き家対策の強化です。空き家対策は、今後どのように強化されるのか、実家を相続して空き家のまま放置している方は特に、チェックしておくことをおすすめします。基本指針とガイドライン改正の目的とは?空家法「基本指針」と「ガイドライン」改正の目的について、国土交通省は、空家法の完全施行(2015年5月26日)後の取組状況をふまえ、空き家対策(空家等の発生の抑制、利活用、除却等の取組)を強力に推進するためとしています。空家法で措置対象となるのは、「特定空家等」です。特定空家等とは、そのまま放置すれば「倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態」や「著しく衛生上有害となるおそれのある状態」などの状態にあると認められる空家等です(空家法2条2項)。特に重要な改正ポイントは、特定空家等には、現に著しく保安上危険または著しく衛生上有害な状態の空家等だけでなく、将来そのような状態になることが予見される空家等も含むと明確にしたことです。これにより、損傷の比較的小さい空家等についても、特定空家等と判断し、老朽化が進む前に、早めの対策を所有者等に促すことが可能となります。「将来そのような状態になることが予見される場合を含む」ことは、旧ガイドラインにも「かっこ書き」で記載がありました。それを前面に押し出したのです。基本指針とは、空家法5条1項に基づく「空家等に関する施策を総合的かつ計画的に実施するための基本的な指針」ガイドラインとは、空家法14条14項に基づく「特定空家等に対する措置に関する適切な実施を図るために必要な指針」幅広く特定空家と認定し、周辺への悪影響が顕在化する前から必要な措置を講じる基本指針とガイドラインが具体的にどう変わったのか、見ていきましょう。基本指針の改正ポイント基本指針の「特定空家等に対する措置の促進」の箇所が、次のように改正されました。旧「基本指針」法第2条第2項に規定する「特定空家等」に該当する建築物等は、適切な管理が行われていない結果として、地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしているものであり、市町村長は、地域住民の生命、身体又は財産を保護するとともに、その生活環境の保全を図るために必要な措置を早急に講ずることが望ましい。新「基本指針」特定空家等は、法第2条第2項に定義するとおり、例えば現に著しく保安上危険又は著しく衛生上有害な状態にあるもののほか、将来著しく保安上危険又は著しく衛生上有害な状態になることが予見されるものも含むものであり、広範な空家等について特定空家等として法に基づく措置を行うことが可能である。市町村長は、地域住民の生命、身体又は財産を保護するとともに、その生活環境の保全を図る観点から、このような特定空家等の状態に応じて必要な措置を講ずることが望ましい。旧・基本指針では、特定空家等は「地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしているもの」であるから「必要な措置を早急に講ずることが望ましい」としていました。新・基本指針は、特定空家等は「現に著しく保安上危険又は著しく衛生上有害な状態にあるもののほか、将来そのような状態になることが予見されるものも含むものであり、広範な空家等について特定空家等として法に基づく措置を行うことが可能」だから、「特定空家等の状態に応じて必要な措置を講ずることが望ましい」としました。現に悪影響が出ていなくても、その蓋然性が高い場合は、幅広く特定空家と認定し、状態に応じた早めの行政指導を行うよう市町村に求めたのです。ガイドラインの改正ポイント改正後の新「ガイドライン」は、こうなっています。現に著しく保安上危険又は著しく衛生上有害な状態の空家等のみならず、将来著しく保安上危険又は著しく衛生上有害な状態になることが予見される空家等も含めて、幅広く対象と判断することのできるものであることに留意が必要である。特定空家等については幅広く対象と判断することのできるものであるため、周辺の生活環境への悪影響が顕在化する前の段階において所有者等による自主的な対応を促す観点から、そのまま放置すれば将来的に周辺の生活環境への悪影響が顕在化することが予見されるものとして早期に特定空家等として判断し、所有者等に対する法第14条に基づく助言又は指導を開始することも考えられる。そのまま放置すれば著しく保安上危険又は著しく衛生上有害な状態となることが予見される空家等については幅広く特定空家等に該当するものと判断し、周辺の生活環境への悪影響が顕在化する前の段階から、法第14条に基づく助言又は指導を行い、改善がなされない場合には勧告を行った上で、必要に応じて命令等の実施を検討することも考えられる。つまり、空家法の規定に従えば、もっと幅広く特定空家等と判断することができるから、周辺の生活環境への悪影響が顕在化する前の段階から、法に基づく措置を積極的に実施するよう、国は市町村に求めているのです。今後、特定空家等と認定され、必要な対応を求められる空き家の所有者が増えてくることが考えられます。固定資産税等の住宅用地特例の厳格化もう1つ、空き家の所有者に大きく影響する改正ポイントが、固定資産税等の住宅用地特例の厳格化です。そもそも、住宅用地特例が適用されるのは、住宅の敷地の用に供されている土地です。住宅とは、人の居住の用に供する家屋です。居住の用に供すると認められない家屋の敷地は、空家法にもとづく勧告を受けるまでもなく、住宅用地特例の適用対象から除外されます。ガイドラインや基本指針で、そのことが明確にされたのです。住宅用地特例について、ガイドラインはどう変わったか新ガイドラインでは、「固定資産税等の住宅用地特例に関する措置」について、次のように記載されています。特定空家等に該当する家屋に係る敷地が、固定資産税等のいわゆる住宅用地特例の対象であって、法第14条第2項に基づき、市町村長が当該特定空家等の所有者等に対して除却、修繕、立木竹の伐採その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置をとることを勧告した場合は、地方税法第349条の3の2第1項等の規定に基づき、当該特定空家等に係る敷地について、固定資産税等の住宅用地特例の対象から除外される。ここまでは、旧ガイドラインにも記載がありました。特定空家等に認定され、必要な措置をとるよう勧告を受けると、固定資産税等の住宅用地特例の対象から除外される、という内容です。新ガイドラインでは、これに続けて、次の内容が追加されています。なお、家屋の使用若しくは管理の状況又は所有者等の状況等から客観的にみて、当該家屋について、構造上住宅と認められない状況にある場合、使用の見込みはなく取壊しを予定している場合又は居住の用に供するために必要な管理を怠っている場合等で今後人の居住の用に供される見込みがないと認められる場合には、当該家屋が特定空家等に該当するか否かに関わらず、住宅には該当しないものであるため、そうした家屋の敷地についてはそもそも固定資産税等の住宅用地特例は適用されない。この内容自体は、新しいものではありません。2015年(平成27年)5月26日、空家法の完全施行にともない、特例の対象となる住宅用地の取扱いの明確化を図るため、総務省が都道府県に通知した内容です。総務省「地方税法第349条の3の2の規定における住宅用地の認定について」等の一部改正について(平成27年5月26日) ※総務省のWebサイトにリンクしています。ガイドラインでは、続けてこう記載されています。したがって、空家等対策で得られた情報について、税務部局(特別区にあっては都)と情報共有し、連携して必要な対応を行うことが重要となる。空家法では、特定空家と認定し、必要な措置を講じるよう勧告した段階で、住宅用地特例の適用が除外される仕組みになっていますが、そもそも特定空家等と認定されるような家屋は、住宅用地特例を受けられる対象ではありません。空家法に基づく立ち入り調査を進める段階で状況を把握できますから、特定空家として行政指導を進める判断をする前でも、税務部局と情報共有することで、住宅用地特例が解除されることはあり得ます。住宅用地特例について、基本指針はどう変わったか基本指針では、住宅用地特例の記載は次のように変わりました。旧「基本指針」人の居住の用に供すると認められない家屋の敷地に対しては、そもそも固定資産税等の住宅用地特例は適用されないことに留意が必要である。新「基本指針」家屋の使用若しくは管理の状況又は所有者等の状況等から客観的にみて、当該家屋について、構造上住宅と認められない状況にある場合、使用の見込みはなく取壊しを予定している場合又は居住の用に供するために必要な管理を怠っている場合等で今後人の居住の用に供される見込みがないと認められる場合には、住宅には該当しないものであるため、そうした家屋の敷地についてはそもそも固定資産税等の住宅用地特例は適用されない。改正された基本指針の内容は、総務省の通知と同じです。相続空き家を放置していると、住宅用地特例が解除されるかも…住宅用地特例の適用に関し、基本指針とガイドラインに新たに追加された部分を詳しく見てみましょう。次の場合は住宅に該当せず、その敷地について、そもそも固定資産税等の住宅用地特例は適用されません。構造上住宅と認められない状況にある場合使用の見込みはなく取壊しを予定している場合居住の用に供するために必要な管理を怠っている場合等で、今後人の居住の用に供される見込みがないと認められる場合住んでいないと、ただちに住宅用地特例が解除されるということはありませんが、居住の用に供すると認められない家屋の敷地は、そもそも住宅用地とは認められないので、特定空家等と認定されるまでもなく、固定資産税などの軽減措置の対象から除外されます。今後は、空家法14条2項にもとづく勧告後の住宅用地特例の解除とともに、特定空家として勧告を受ける前であっても、税務部局から直接、住宅用地特例を解除されるケースも出てきそうです。まとめ空家法の基本指針とガイドライン改正により、今後は、特定空家と認定され、行政指導を受ける空家が多くなりそうです。特定空家として必要な措置を講じるよう市町村から勧告を受けると、住宅用地特例の適用が解除され、固定資産税が最大6倍にも跳ね上がるので注意が必要です。また、そもそも居住の用に供すると認められない家屋の敷地は、住宅用地特例の対象となりませんから、住宅用地特例解除に向けた調査も進められています。相続空き家を放置している方は要注意!実家を相続して空き家のまま放置している場合は、特定空家と認定される前に、売却するなり、利活用するなり、早めの対応をおすすめします。まずは、「今の価値がどれくらいあるか?」から調べてみましょう。売却するか活用するかは、その結果をふまえて検討する方が判断しやすく、後悔することもありません。\ いま売ったらいくら? /いまの価値を無料診断してみるあなたに おすすめの記事相続した実家を売るか貸すか、後悔しない判断の仕方とは?空き家の維持費・管理費はどれくらいかかる?相続した田舎の築40年以上の古い実家・空き家を売却するコツ5年間売れなかった築50年の相続空き家を売却できた理由とは?田舎の築古空き家の売却仲介を不動産業者に断られたときはどうする?
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  • 特定空家に対する行政指導
    空家法にもとづく特定空家に対する措置|指導・助言、勧告、命令
    市町村長は、特定空家等の所有者に対し、除却、修繕、立木竹の伐採など必要な措置をとるよう、助言・指導、勧告、命令をすることができます。空家法(空家等対策の推進に関する特別措置法)では、「助言・指導」⇒「勧告」⇒「命令」という3段階のプロセスを経て、それでも改善されない場合は「代執行」という最終手段を採る仕組みになっています。特定空家等に対する措置の内容について、詳しく見ていきましょう。助言または指導特定空家等と判断されると、その所有者等は、必要な措置を講じるよう、市町村から助言または指導を受けます。この法的性質は行政指導で、これにより所有者等に何らかの義務が生じるわけではありません。助言と指導の違いは、指導は助言より強く措置の履行を求めることになります。空家法14条1項市町村長は、特定空家等の所有者等に対し、当該特定空家等に関し、除却、修繕、立木竹の伐採その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置(そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態にない特定空家等については、建築物の除却を除く。次項において同じ。)をとるよう助言又は指導をすることができる。助言・指導の内容助言・指導は、所有者等に対して、特定空家等についての除却、修繕、立木竹の伐採その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置を行うことを求めるものです。どんな場合に「建築物の除却」を指導できるか?本条項の「かっこ書き」に、「そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態にない特定空家等については、建築物の除却を除く」とあります。ここでいう「建築物の除却」とは、「建築物等の全部除却」を意味しています。この「かっこ書き」部分は、次のような意味です。空家法2条2項は、次の4つの状態のいずれかに該当すると認められる空家等を特定空家と規定しています。そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態このうち①②の状態にない、すなわち③または④のいずれかに該当する特定空家等につき助言・指導する場合は、建築物等の全部を除却する措置を助言・指導することはできないということです。③④の場合は、①②の場合に比べて、地域住民の生命・身体・財産への危険性が低く、建築物等の全部除却によらなくても、周辺の生活環境への悪影響を取り除くことは可能です。そのため、憲法29条の財産権保障とのバランスから、建築物等の全部除却という財産権侵害の程度が最も強力な措置は、必要性・合理性を欠くと考えられることから、除却することはできないとしたようです。③④に該当する場合、建築物等の全部の除却に係る助言・指導はできませんが、建築物等の一部の除却(例えば、著しく朽廃・汚損した木塀等の除去)に係る助言・指導はできます。また、敷地に繁茂している樹木の伐採や朽ちた看板等の助言・指導も可能です。逆に言えば、建築物等の全部の除却を助言・指導できるのは、「そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態または著しく衛生上有害となるおそれのある状態」の特定空家等だけです。周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置とは?「その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置」とは、例えば、次のようなものです。特定空家等の敷地内から周辺の道路等に土砂が流出している場合の土砂の流出を防ぐための工事。シロアリが大量に発生し、近隣の家屋に飛来し、周辺の生活環境に悪影響を及ぼすおそれのある場合のシロアリの駆除。特定空家等に住みついた動物やその糞尿、敷地内に投棄されたゴミ、繁茂している雑草の除去。助言・指導を受けた特定空家等の状態が改善されない場合助言・指導を受けた特定空家等の状態が改善されない場合には、その特定空家等の所有者等に対し、繰り返し助言または指導を行うか、必要な措置を勧告するか、検討されます。勧告助言または勧告を行っても特定空家等の状態が改善されない場合、市町村長は、相当の猶予期間を付けて、必要な措置をとるよう勧告することができます。勧告の法的性質について、国は行政指導と位置付けています。これにより所有者等に何らかの義務が生じるわけではありませんが、地方税法が定める固定資産税の住宅用地特例の適用が除外されるなど、不利益措置を受けることに注意してください。空家法14条2項市町村長は、前項の規定による助言又は指導をした場合において、なお当該特定空家等の状態が改善されないと認めるときは、当該助言又は指導を受けた者に対し、相当の猶予期限を付けて、除却、修繕、立木竹の伐採その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置をとることを勧告することができる。勧告の内容助言・指導の内容が実現されていないことが要件ではなく、特定空家等の状態の改善がないことが要件です。したがって、助言・指導の内容と勧告の内容が同一でないこともあります。ガイドラインは、「措置の内容は、周辺の生活環境の保全を図るという規制目的を達成するために必要かつ合理的な範囲内のものとしなければならず、例えば改修により目的が達成され得る事案に対し、いたずらに除却の勧告をすることは不適切である」としています。相当の猶予期限とは?勧告が助言・指導と異なる点は、「相当の猶予期限」を付けて勧告することです。「相当の猶予期限」とは、勧告された措置を行い、周辺の生活環境への悪影響を改善するのに通常要すると思われる期間です。具体的には、対象となる特定空家等の規模や措置の内容等によって異なりますが、おおよそ「物件を整理するための期間や工事の施工に要する期間を合計したものを標準とする」とされています。勧告を受けると住宅用地特例が適用除外勧告がされると、固定資産税等の住宅用地特例の適用が除外されます。修繕など必要な措置が完了し、特定空家等でなくなった場合は、勧告を維持する必要がなくなるので、勧告が撤回され、住宅用地として要件を満たせば改めて住宅用特例の適用を受けられます。命令勧告を受けた者が、正当な理由なく勧告された措置をとらなかった場合、特に必要があると認めるときは、相当の猶予期限を付けて、その勧告に係る措置を講じるよう命令することができます。この命令は行政処分であり、これにより所有者等は、命令に係る措置を行う法律上の義務を負うことになります。市町村長は、この命令をした場合には、第三者に不測の損害を与えることを未然に防止するため、命令が出ている旨を公示する標識を設置し、市町村の広報誌やホームページ等で公示します(空家法14条11項・12項)。命令に違反すると、50万円の過料に処されます(空家法16条1項)。空家法14条3項市町村長は、前項の規定による勧告を受けた者が正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかった場合において、特に必要があると認めるときは、その者に対し、相当の猶予期限を付けて、その勧告に係る措置をとることを命ずることができる。「正当な理由」とは?ここでいう「正当な理由」について、ガイドラインは、「所有者等が有する権原を超えた措置を内容とする勧告がなされた場合等を想定」していると記載しています。そして「単に措置を行うために必要な金銭がないことは正当な理由とはならない」としています。「所有者等が有する権原を超えた措置を内容とする勧告がなされた場合等」とは、次の2つのケースが想定されています。特定空家等とされる家屋の所有者と敷地の所有者が異なる場合です。特定空家等は家屋と敷地を一体として捉えるので、家屋の所有者と敷地の所有者の両者が、助言・指導、勧告の対象となります。しかし、この場合、敷地の所有者には、勧告された内容を行おうにも、その権原がありません。特定空家等の所有者に勧告を行った後、自然災害が発生して特定空家等が滅失。そもそも勧告内容を講じる必要がなくなった場合です。「特に必要があると認めるとき」とは?ガイドラインでは、「特に必要があると認めるとき」とは、「比例原則を確認的に規定したものであり、対応すべき事由がある場合において的確な権限行使を行うことは当然認められる」としています。そもそも特定空家等とは、そのまま放置すれば著しく保安上危険または著しく衛生上有害となるおそれのある状態で、周辺の生活環境に悪影響を及ぼすものです。助言・指導、勧告が行われたにもかかわらず、何らの改善も見られないような場合には、通常、それだけで必要性を肯定できます。命令を出すのに、勧告に係る措置がとられなかったことに加え、何か新しい事情が必要というものではありません。この加重要件は、権原発動を抑制する趣旨で設けられたものではないとされています。むしろ、この必要性については、勧告を行ったけれども、勧告に係る措置がとられなかった場合において、あえて命令を出すまでもなく改善の見込みがある場合(例えば、土地建物が売却され、その結果、特定空家が壊され、新しい建物が建築される予定であることを地方自治体において把握した場合等)には命令を出さなくともよいという、消極的な要件と考えるべき。手続き命令は、助言・指導、勧告と異なり、不利益処分の性質を持つ行政処分です。したがって、命令を発するにあたっては、相手(特定空家等の所有者等)に弁明の機会を与える手続きを定めています(空家法14条4項~8項)。代執行必要な措置を命じても、命じられた者が措置を履行しないとき、履行しても十分でないとき、履行しても命令で定めた期限までに完了する見込みがないときは、市町村長は、行政代執行の規定にもとづき、代執行を行うことができます。空家法14条9項市町村長は、第3項の規定により必要な措置を命じた場合において、その措置を命ぜられた者がその措置を履行しないとき、履行しても十分でないとき又は履行しても同項の期限までに完了する見込みがないときは、行政代執行法の定めるところに従い、自ら義務者のなすべき行為をし、又は第三者をしてこれをさせることができる。代執行の要件空家法14条9項が規定する代執行を行う際の要件は、命令を発していることのほか、命令を受けた者が措置を履行しないとき、履行しても十分でないとき、履行しても命令の期限までに完了する見込みがないとき、のいずれかに該当することです。本条項は、行政代執行の要件を定めた行政代執行法2条の特則です。行政代執行法2条は、行政代執行の要件について、3つ規定しています。義務者が命じられた行為を履行しない(義務不履行)他の手段によってその履行を確保することが困難(補充性)その不履行を放置することが著しく公益に反すると認められる(公益性)義務の不履行には、履行しても十分でない場合や定められた期限までに完了しない場合も含まれると解されています。行政代執行法2条法律により直接に命ぜられ、又は法律に基き行政庁により命ぜられた行為(他人が代わってなすことのできる行為に限る。)について義務者がこれを履行しない場合、他の手段によってその履行を確保することが困難であり、且つその不履行を放置することが著しく公益に反すると認められるときは、当該行政庁は、自ら義務者のなすべき行為をなし、又は第三者をしてこれをなさしめ、その費用を義務者から徴収することができる。空家法14条9項では、行政代執行の要件は、義務不履行のみで、行政代執行法2条に規定する補充性・公益性は、要件でなくなっています。本来、補充性・公益性の要件も含めて判断して代執行すべきところ、特定空家等に対して命令した場合は、義務不履行のみで代執行ができます。これは、特定空家等と認定し、周辺の生活環境の保全を図るため助言・指導、勧告を経て命令を行うまでの過程で、行政代執行法2条に定める補充性・公益性の要件については、十分検討したうえで判断していると考えられるからです。そもそも特定空家等とは、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態等にあると認められる状態ですから、命じられた措置が履行されないときは、それ自体著しく公益に反する状況といえます。したがって、改めて行政代執行法2条の要件に該当するか否かを判断するまでもなく、市町村長が迅速機宜に行政代執行ができるよう明文規定したものです。代執行費用の徴収代執行に要した費用は、所有者等に対し、費用の額と納期日を定めた納付命令書を送達し、納付命令を行います(行政代執行法5条)。費用の徴収については、国税滞納処分の例による強制徴収が可能です(行政代執行法6条1項)。国税滞納処分の例とは、納税の告知、督促、財産の差押え、差押財産の公売等による換価、換価代金の配当の手順です。略式代執行略式代執行は、代執行の際にとるべき手続きを一部省略して代執行を行う制度です。空家法における略式代執行は、措置の命令等を受ける者(特定空家等の所有者等)が不明な場合に、助言・指導⇒勧告⇒命令の3段階のプロセスを経ることなく、代執行を行うことができるとするものです。空家法14条10項第3項の規定により必要な措置を命じようとする場合において、過失がなくてその措置を命ぜられるべき者を確知することができないとき(過失がなくて第1項の助言若しくは指導又は第2項の勧告が行われるべき者を確知することができないため第3項に定める手続により命令を行うことができないときを含む。)は、市町村長は、その者の負担において、その措置を自ら行い、又はその命じた者若しくは委任した者に行わせることができる。この場合においては、相当の期限を定めて、その措置を行うべき旨及びその期限までにその措置を行わないときは、市町村長又はその命じた者若しくは委任した者がその措置を行うべき旨をあらかじめ公告しなければならない。略式代執行の要件は、「過失がなくてその措置を命ぜられるべき者を確知することができない」ことです。「過失がなくて」「確知することができない」場合とは、ガイドラインによれば、こうです。「過失がなくて」とは、市町村長がその職務行為において通常要求される注意義務を履行したことを意味します。「確知することができない」とは、措置を命ぜられるべき者の氏名及び所在をともに確知しえない場合及び氏名は知りえても所在を確知しえない場合をいうものと解される。どこまで追跡すれば「過失がなくて」「確知することができない」と言えるかについての定めはありません。判断にあたっては、特定空家等の所有者等およびその所在につき、市町村が法第10条にもとづき、例えば、住民票・戸籍謄本の情報、不動産登記簿情報、固定資産課税情報などを利用し、法第9条に基づく調査を尽くし、特定空家等が周辺の建築物や通行人等に対し悪影響をもたらすおそれの程度や当該特定空家等による悪影響の程度と危険等の切迫性も踏まえ、必要性を判断することとなります。略式代執行費用の徴収略式代執行は、行政代執行法の規定によらないものであることから、代執行に要した費用を強制徴収することはできません。所有者等が後で判明したときは、その時点で、その者から代執行に要した費用を徴収することができますが、義務者が任意に費用支払をしない場合、市町村は民事訴訟を提起し、裁判所による給付判決を債務名義として、民事執行法に基づく強制執行に訴えることとなります。まとめ特定空家等に対する措置の流れは、こうです。特定空家等についての除却、修繕、立木竹の伐採その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置を行うよう、助言または指導を行います。助言・指導しても特定空家等の状態が改善されないときは、勧告を行います。勧告を行うと、固定資産税等の住宅用地特例の適用を受けられなくなります。正当な理由なく勧告に従わないときは、勧告した措置を講じるよう命令します。標識の設置、その他の方法により公示します。命令に従わないときは、行政代執行を行います。費用は所有者等に請求します。相続空き家を放置している方は要注意!実家を相続して空き家のまま放置している場合は、特定空家と認定される前に、売却するなり、利活用するなり、早めの対応をおすすめします。まずは、「今の価値がどれくらいあるか?」から調べてみましょう。売却するか活用するかは、その結果をふまえて検討する方が判断しやすく、後悔することもありません。\ いま売ったらいくら? /いまの価値を無料診断してみるあなたに おすすめの記事相続した実家を売るか貸すか、後悔しない判断の仕方とは?空き家の維持費・管理費はどれくらいかかる?相続した田舎の築40年以上の古い実家・空き家を売却するコツ5年間売れなかった築50年の相続空き家を売却できた理由とは?田舎の築古空き家の売却仲介を不動産業者に断られたときはどうする?
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