不動産を高く売却する効果的な値下げのタイミングとテクニック

不動産を高く売却する効果的な値下げのタイミングとテクニック

不動産売却では、買主が現れないときには販売価格の引き下げが必要です。高く売るために効果的な値下げのタイミングと値下げテクニック、買主との価格交渉のテクニックをご紹介します。

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値下げのタイミング

 

不動産を高く早く売るためには、ぜひ知っておきたい「効果的な値下げのタイミング」があります。

 

必ず値下げをしなければならないということではありません。売りに出したらすぐに買主が見つかり、希望の価格で売却できた、という場合もあるでしょう。ですが、市場の反応によっては、販売価格の調整が必要です。そんなときは、どのタイミングで、どれくらい値下げすればよいか、が問題となります。

 

ここでは、不動産売却を成功させるための効果的な値下げのタイミングとテクニック、買主との価格交渉で主導権を握るテクニックをご紹介します。

 

高く早く売るために効果的な値下げのタイミングとは?

「早く売るために値下げするのは分かるけど、値下げしてしまったら高く売れないのでは?」と、疑問に思うかもしれませんね?

 

不動産売却で値下げは最初から織り込み済み

でも、考えてみてください。売出価格は、もともと一定の値下げ幅を見込んだ価格です。通常、実勢価格より少し高めの価格で売り出し、市場の反応を見て販売価格を段階的に引き下げ、売れる価格を探ります。販売価格を引き下げる場合でも、買主との価格交渉を想定し、値引き要請にも応じられるよう、値下げ幅を用意しておくものです。

 

このように、不動産売却では、当初から一定の値下げ幅は織り込み済みです。販売価格を値下げしたからといって、不動産売却が失敗したことにはなりません。

 

むしろ、販売価格を効果的に引き下げ、買主からの値引き要請にも上手に応え、「お得感」を出すことによって、不動産を適正な価格で高く早く売却することができるのです。

 

要は、値下げは最初から織り込み済み。「値下げカード」をいつ切るのが効果的か、ということです。

 

大幅な値下げをするタイミング

特に重要なのは、大幅な値下げをするタイミングです。市場の反応によっては、大幅な値下げも仕方ない場合があります。そんなときは、どのタイミングで値下げすればよいのか?

 

売り出した時期にもよりますが、大幅な値下げをするなら、新年と秋ころが効果的です。

 

1年のうち最も不動産物件が動くのは年初です(⇒ 詳しくは不動産を高く売るための「売出しタイミング」)。年明けに大幅な値下げを実行すると、需要が増える中で注目されやすくなるので、売れる確率が高まります。

 

新年に次いで効果的な値下げのタイミングは、9月~10月です。秋は、新築物件の販売が増えるため、客足が伸びます。9月に値下げすると、他の物件と比べて「お得感」を出しやすく、売れる確率が高まります。

 

「ボーナス時期に売れやすい」は本当か?

ボーナス時期をねらって12月に値下げする人もいますが、不動産は小売商品とは違いますから、ボーナス時期に売れやすいということはありません

 

12月は、むしろ客足が落ち込む時期です。そんなときに値下げして新年を迎えると、価格の新鮮味が失われ、値下げ効果を発揮できません。12月は価格を維持し、年が明けて値下げするのが効果的です。

 

値下げ時期と値下げ幅をスケジュール化しておく

値下げ時期と値下げ幅は、あらかじめ売却スケジュールの中で決めておくと、場当たり的な値下げでなく、効果的な値下げができます。

 

値下げ時期と値下げ幅をスケジュール化しておくことで、「なかなか売れそうにないから値下げした方がいいのだろうか」と悩むことも、いざ売れたときに「もっと高く売れたかもしれない」と後悔することもなくなります。

 

売却活動のスケジュール化について詳しくはこちらをご覧ください。

購入希望者が現れやすくなる 3つの効果的な値下げテクニック

販売価格を引き下げるときには、次の3つの点に注意するだけで、購入希望者が現れやすくなります。

 

  1. 10%を目安に販売価格を引き下げる
  2. 端数を調整すると安く感じられる
  3. ネットの検索にかかるよう価格帯を考慮する

 

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

10%を目安に販売価格を引き下げる

値下げするときは、値下げ幅を販売価格の10%を目安に引き下げると、値下げ効果が現れやすくなります。2つの理由があります。

 

買主は、数十万円の違いで購入を判断しない

1つ目の理由は、数十万円程度の値下げでは、インパクトがないからです。もちろん、販売価格によります。販売価格が数百万円程度の物件であれば、数十万円程度の値下げは十分効果があります。

 

しかし、1,000万円を超す物件で、数十万円程度の値下げでは意味がありません。数十万円の差で買うか買わないか迷うことは、ほとんどないからです。もちろん、価格交渉では、数十万円の値引きが交渉対象となる場合がありますが…。

 

例えば、販売価格1,000万円の物件につき、100万円値下げするとします。うまくいけば買手が現れるかもしれないと50万円だけ値下げしたものの反応がなく、再度50万円値下げして、結果的に100万円値下げした場合と、一気に100万円値下げした場合とでは、物件を探している側から見れば、インパクトが違います。

 

値下げ幅が小さいと、値下げしたことすら気づいてもらえないこともあります。値下げに慎重になりすぎると、かえって損することがあるのです。

 

新しい買主の層から「手が届く価格帯」まで下げる

2つ目の理由は、新しい買主の層から手が届く価格帯まで下げることが大事だからです。

 

買主は、おおむね予算の10%程度高めの物件までを購入検討対象として探します。価格を10%下げることによって、新しい買主層に購入検討対象の物件として認知してもらえるのです。

 

例えば、3,000万円で売り出した物件を考えてみましょう。販売価格が3,000万円だと、予算2,700万円~3,000万円で探している買主層にとって購入検討対象の物件です。

 

販売価格を10%引き下げて2,700万円とすると、予算2,400万円~2,700万円で探している新しい買主層までターゲットを広げることができます。

 

予算3,000万円で探していた買主にとっては魅力を感じられなかった物件でも、予算2,500万円で探していた買主にとっては魅力ある物件に映ることがあります。

 

3,000万円で売り出したときに、そもそも予算2,500万円で探していた買主しかいなかったかもしれません。販売価格を10%下げることによって、そういった買主を発掘することができるのです。

 

端数を調整すると安く感じられる

細かなテクニック論になりますが、価格を10%下げた後で端数を調整します。具体的には、10万円の位を「8」または「9」にするのです。

 

例えば通販でも、「羽毛布団 16,980円」「4K液晶テレビ 139,800円」とい価格標示になっていますね。これは、最後に「8」や「9」がくると、少しでも安くなっていると「お得」に感じるからです。

 

具体例をあげておきましょう。

 

端数調整の例
  • 2,000万円から10%下げると1,800万円です。この場合、販売価格は1,890万円とします。100万円の位が「8」の場合は、10万円の位を「9」にするのが通例です。
  • 1,500万円から10%下げると1,350万円です。この場合、販売価格は1,380万円とします。
  • 1,000万円から10%下げると900万円です。この場合、980万円では値下げ感がないので890万円とします。

 

ネットの検索結果に反映されるよう価格帯を考慮する

買主がインターネットで物件を探すときに検索結果に反映されるよう、価格帯を考慮することが大切です。「頭の数字による価格帯」と「500万円単位の価格帯」の2つを考えます。

 

これも細かなテクニック論に思えるかもしれませんが、多くの人がネットで検索して物件を探しますから、とても大事なことです。

 

頭の数字による価格帯を考慮する

例えば、2,010万円と1,990万円では、わずか20万円の差ですが、この2つの価格には大きな違いが生じます。価格帯で考えると、それぞれ2,000万円台と1,000万円台となるからです。

 

買主がインターネットで1,000万円台の物件を探すとき、2,010万円では、検索結果から除外されてしまいます。わずかの差で、買主の目に触れるチャンスを逃してしまうのです。

 

500万円単位の価格帯を考慮する

インターネットの不動産物件情報サイトは、たいてい500万円単位で検索できるようになっています。

 

買主は、1,000万円台とか2,000万円以内という条件で探すだけでなく、1,500万円~2,000万円というように、500万円単位で探します。

 

例えば、1,980万円なら1,500万円~2,000万円の価格帯の物件に入り、1,480万円なら1,000万円~1,500万円の価格帯の物件に入ります。

 

インターネットの検索を前提に、500万円の単位で価格帯を考慮して、販売価格を調整することも大事です。

価格交渉で主導権を握るテクニック

買主が、販売価格で購入するのであれば問題ありませんが、たいていは、販売価格と買主の購入希望価格との間には差があり、最後は価格交渉により売買価格を決定することになります。

 

販売価格には値引き幅を加算しておく

買主との価格交渉に全く応じない態度では、せっかくの売却チャンスを逃しかねません。販売価格を決めるときに、あらかじめ値引き幅を織り込んだ価格とすることが大切です。

 

価格交渉は、普通、10万円単位の端数部分が対象となります。例えば、販売価格が1,980万円の物件なら、80万円が値引き額です。

 

もっとも、価格交渉は、売主が「ここまでしか下げられない」といえば、その価格でまとまるものです。買主が「この価格でなければ買わない」と、強気で主張してくることは、ほとんどありません。

 

これがプロの交渉術

売主が「ここまでしか下げられない」と値下げ額の限度を提示してもいいのですが、もっといい方法があります。

 

買主の購入希望価格に対して、「その価格では厳しい」と伝えた上で、「せっかくのご縁を大切にしたいと思っています。できるだけ歩み寄れるようにしますから、いくらまで買い上がっていただけますか」と、買主に聞くのです。

 

つまり、売主から価格を提案するのでなく、少しは値下げに応じる用意があることを匂わせながら、買主に「どれだけ出せるか」を提案させるのです。これが、不動産売却におけるプロの交渉術です。こうすることで、買主も気持ちよく購入できます。

まとめ

不動産売却では、あらかじめ値下げ幅を考慮して、売出価格・販売価格を決めておけば、効果的に値下げカードを切ることができます。高く早く売るためには、効果的な値下げのタイミングやテクニックがありますから、ぜひ知っておいてください。

 

信頼できる不動産業者に売却を依頼すれば、安心して不動産売却を任せることができます。不動産売却で最も大事なのは、不動産業者選びです。

 

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公開日 2018-12-21 更新日 2023/12/21 13:19:15