「期限の利益喪失の予告通知」や「代位弁済通知」が届いたら?

期限の利益喪失・代位弁済通知

 

住宅ローンの返済を滞納して、金融機関や保証会社から「期限の利益喪失の予告通知」「代位弁済通知」が送られてきたら、競売開始の一歩手前です。

 

何も対応しないと、ほどなく裁判所から「競売開始決定通知」が届き、自宅(担保不動産)が競売にかけられます。

 

「期限の利益喪失」「代位弁済」とは何か、その通知が送られて来たら、どう対応すればいいのか、見ていきましょう。

 

 

「期限の利益喪失」や「代位弁済」の深刻度

期限の利益喪失通知や代位弁済通知は、たんなる督促の通知ではありません。

 

期限の利益喪失通知が送られてくるということは、「あなたに返済能力はない」と金融機関が判断したということです。「もう信頼できないから、貸したお金を現時点での利息を付けて全額返せ」ということです。

 

代位弁済通知は、「あなたに代わって保証会社が返済したので、債権が金融機関から保証会社に移った」「今後は、抵当権の実行(競売の申立て)も辞さない」ということです。

 

この後は、裁判所から競売開始決定通知が届き、裁判所による競売手続きが進行します。

 

つまり、裁判所からの競売開始決定通知を「深刻度レベル5」とすると、代位弁済通知は、その前段階の「深刻度レベル4」、期限の利益喪失通知は、さらにその前段階の「深刻度レベル3」ということになります。

 

通知 深刻度レベル
期限の利益の喪失
代位弁済
競売開始決定

 

ただし、深刻度が「レベル3」や「レベル4」だからといって、安心はできません。

 

期限の利益を喪失すると、債権者にとって、それは不良債権です。返済される見込みはないため、債権を回収するためには、抵当権を実行するしかありません。競売手続へ向け、一気に進みます。

 

期限の利益喪失通知や代位弁済通知が送られて来たら、早めに対応することが大切です。それぞれの段階について具体的に見ていきましょう。

 

滞納初期段階の対応が大切

「期限の利益喪失通知」や「代位弁済通知」が送られてくるまでには、いくつかのステップがあります。まず、期限の利益喪失、代位弁済に至るまでの流れと、住宅ローンの滞納初期段階でどう対応すべきなのか、見ておきましょう。

 

すでに「期限の利益喪失通知」や「代位弁済通知」が送られてきており、必要なければ、飛ばして次に進んでください。

 

 

滞納初期段階でリスケジュールを相談

口座の残高不足で引き落としができなかった、という経験は誰でもあるでしょう。「今月分の引き落としができなかったので、次回2ヵ月分をまとめて引き落とします」といった内容の通知が届きます。

 

引き落としできなかったのが1ヵ月分なら、「次の引き落とし日には、忘れず用意しておいてくださいね」と、確認のための通知が送られてくる程度です。

 

しかし、引き落としできない状況が続き、滞納3ヵ月ともなると、そうはいきません。督促状や催告書が送られてきます。

 

もし、何らかの事情で収入が減るなどして返済が厳しくなったのなら、月々の返済額を減額するなど返済計画の変更(リスケジュール)を金融機関に相談することが大切です。滞納初期段階なら、金融機関がリスケジュールに応じてくれる可能性があります。

 

督促状や催告書が届いたのに、何もせず放置するのが一番いけません。事態を悪化させるだけです。

 

返済できる見通しがない場合

リスケジュールしても返済が難しい状況であれば、もう売るしかありません。その場合、通常の不動産売却はできないので任意売却することになります。

 

滞納初期の段階で、返済していけるかどうか、本人が一番分かっているはずです。滞納が続けば、いずれは競売にかけられ、住まいを失ってしまいます。そうなる前に、任意売却を不動産業者に相談することが大切です。

 

「期限の利益喪失の予告通知」が届いたら?

督促状や催告書を送っても支払いがないと、金融機関は、期日を決めて「○月○日までに滞納分の全額を指定口座に振り込んで下さい。支払わない場合は期限の利益を喪失することになります」と通告してきます。

 

これを「期限の利益喪失の予告通知」といいます。金融機関からの最終通告です。

 

期限の利益とは

期限の利益とは、一度にまとめて返さなくても、毎月決められた日に決められた額を返せばよい、と分割返済が認められることです。

 

契約通りの返済が履行されないと、期限の利益を喪失し、一括返済を求められます。

 

「期限の利益喪失の予告通知」が届くのは、金融機関により異なり一律ではありませんが、おおむね滞納6ヵ月ころです。

 

中には、3ヵ月以上の滞納で、ただちに期限の利益を喪失させ、次の代位弁済に進む銀行もあるようですから、注意が必要です。

 

住宅ローンを維持する最後のチャンス

住宅ローンの分割返済を継続するなら、この「期限の利益喪失の予告通知」を受け取ったときが最後のチャンスです。

 

滞納額・遅延損害額を金融機関から指示された通り支払えば、分割返済を継続できます。リスケジュールに応じてくれる場合もあります。

 

しかし、「期限の利益喪失の予告通知」を放置すると、現実に期限の利益を喪失し、一括返済を請求されます。

 

期限の利益を喪失してしまうと、分割返済は認められません。もし、住宅ローンを月々返済していく意思があるなら、期限の利益喪失前に対応する必要があります。

 

返済できないときは無理せず任意売却の準備を始める

返済が難しいときは、決して無理をして返済しようとせず、任意売却の準備を始めることをおすすめします。

 

仮に、返済資金を調達し滞納分を支払い、そのときは期限の利益の喪失を免れたとしても、すぐにまた滞納し、同じような状況に陥ることは目に見えています。しかも、他から借金したり、税金を滞納したりで、かえって状況が悪化することさえあります。

 

無理をせずに任意売却の準備を始めることで、生活再建の見通しを持てます。また、任意売却は、早く準備を始めるほど、有利な条件で売却できる可能性が高まるのです。

 

なお、実際に任意売却の手続きを開始できるのは、次の段階の代位弁済後です。とはいえ、任意売却の準備は、早い方がよいのです。任意売却に着手するタイミングについて詳しくはこちらをご覧ください。

 

「代位弁済通知」が届いたら?

期限の利益を喪失すると、金融機関は一括返済を請求します。支払いがされないと、金融機関は、保証会社に代位弁済を請求します。

 

代位弁済とは

代位弁済とは、保証会社が、借主に代わって借入金の残額を一括で支払うことです。

 

住宅ローンを借りるとき、金融機関との金銭消費貸借契約と別に、保証会社と保証委託契約を結ぶのが一般的です。金融機関は、借主から返済がなくても、保証会社から全額回収できる仕組みになっているのです。

 

保証会社が代位弁済すると、保証会社が新しい債権者となり、その旨を通知する書類が送られてきます。これを「代位弁済通知」といいます。

 

いうまでもなく、保証会社が代わりに住宅ローン残額を支払ってくれたからといって、借主の債務がなくなるわけではありません。債権が金融機関から保証会社に移るだけです。

 

代位弁済後は、競売へ向けて一気に進む

保証会社が代位弁済するときには、すでに期限の利益を喪失していますから、保証会社からは一括返済を迫られます。しかし、当然、一括返済などできません。

 

すると、保証会社は、債権回収のため抵当権を実行し、裁判所に競売を申し立てます。こうして、代位弁済後は、競売へ向けて一気に動きます。

 

代位弁済後、競売を回避する方法

競売を回避するには、任意売却するしか方法はありません。保証会社が代位弁済すると、実際に任意売却の手続きに着手できるようになります。

 

代位弁済から競売申立てまでは、およそ1ヵ月程度です。あまり日がありません。代位弁済通知が届いたら、速やかに、任意売却の相談を不動産業者にすることが必要です。

 

個人民事再生で住宅ローンの巻き戻し

多重債務に陥り、住宅ローン以外の債務を整理すれば住宅ローンの支払いを継続できる場合は、裁判所に個人民事再生手続きを申し立て、再生計画が認められれば、代位弁済をなかったものとできます(民事再生法204条1項)。これを住宅ローンの巻き戻しといいます。

 

個人民事再生は、自宅を売却することなく債務整理する方法です。該当する場合は、弁護士に相談してみるとよいでしょう。

 

まとめ

金融機関から「期限の利益喪失の予告通知」が送られてきたとき、何も対応しないと、現実に期限の利益を喪失し、一括返済を求められます。

 

それを放置すると、保証会社が代位弁済し、「代位弁済通知」が届きます。今度は保証会社から一括返済を求められます。

 

保証会社からの一括返済請求を放置すると、保証会社は抵当権を実行し、裁判所に競売を申立て、裁判所による競売手続きが進行します。裁判所によって強制的に売却され、強制的に退去させられます。

 

競売を回避するには、任意売却しかありません。

 

「期限の利益喪失通知」や「代位弁済通知」が送られてきたときは、速やかに任意売却に詳しい不動産業者に相談することが大切です。

 

おすすめのページ