専属専任媒介契約を違約金なしで解除・解約し業者変更する方法

専属専任媒介契約を違約金なしで解除・解約し、業者変更する方法

専任媒介契約・専属専任媒介契約は、不動産業者が契約義務を履行しないときは、契約の有効期間内でも解除・解約できます。違約金も発生しません。ただし、売主都合の解約は、契約期間中の経費を請求される場合があります。

契約解除

 

専任媒介契約・専属専任媒介契約は、契約期間の途中でも解除・解約することができますが、媒介契約期間中の業務に要した費用を請求されることがあります。

 

ここでは、専任媒介契約・専属専任媒介契約を解除・解約する方法と注意点と、専任媒介契約・専属専任媒介契約する業者を変更したいときに、媒介契約を終了させ、トラブルなく業者変更できる方法について、お伝えします。

 

 

以下、専任媒介契約について説明していますが、専属専任媒介契約の場合も同じです。専任媒介契約と専属専任媒介契約の違いについてはこちらをご覧ください。

不動産業者が義務を履行しないときは、専任媒介契約を解除できる

契約解除

 

専任媒介契約をした不動産業者が、誠実に売却活動をしないなど契約義務を履行しない場合は、専任媒介契約を解除できます。違約金も発生しません。

 

ただし、不動産業者の責任によらない媒介契約の解除、すなわち、売主都合による媒介契約の解除は、媒介契約期間中の業務に要した費用を請求されますから、注意が必要です。

 

専任媒介契約の解除については、国土交通省の定めた「標準専任媒介契約約款」に規定があります。

 

国土交通省「標準専任媒介契約約款」の規定

国土交通省の「宅地建物取引業法施行規則の規定による標準媒介契約約款」では、専任媒介契約を解除できる場合について、次のように定めています。

 

不動産業者が「専任媒介契約に定める義務の履行に関してその本旨に従った履行をしない場合」には、相当の期間を定めて履行を催告し、その期間内に履行がないときは、専任媒介契約を解除することができます(標準専任媒介契約約款16条)

 

また、不動産業者の行為が次のいずれかに該当する場合、売主は、専任媒介契約を解除することができます(同17条)

  1. 専任媒介契約に係る業務を誠実に遂行する義務に違反したとき。
  2. 専任媒介契約に係る重要な事項について、事実を告げなかったり、不実のことを告げる行為をしたとき。
  3. 宅地建物取引業に関して、不正・不当な行為をしたとき。

 

このことから、不動産業者が誠実に売却活動をしない場合、売主は、相当の期間を定めて契約の履行を催告し、その期間内に履行がないときは、専任媒介契約を解除することができるのです。

 

「標準専任媒介契約約款」から、媒介契約の解除に関する部分を抜粋しておきます。条文中の甲・乙は、甲が媒介契約の依頼者、乙が宅建業者です。

 

専任媒介契約約款 第16条

甲又は乙が専任媒介契約に定める義務の履行に関してその本旨に従った履行をしない場合には、その相手方は、相当の期間を定めて履行を催告し、その期間内に履行がないときは、専任媒介契約を解除することができます。

専任媒介契約約款 第17条

次のいずれかに該当する場合においては、甲は、専任媒介契約を解除することができます。
 乙が専任媒介契約に係る業務について信義を旨とし誠実に遂行する義務に違反したとき。
 乙が専任媒介契約に係る重要な事項について故意若しくは重過失により事実を告げず、又は不実のことを告げる行為をしたとき。
 乙が宅地建物取引業に関して不正又は著しく不当な行為をしたとき。

※ 専属専任媒介契約については、同様の条項が、標準専属専任媒介契約約款15条・16条にあります。

 

専任媒介契約した不動産業者の義務とは?

専任媒介契約した不動産業者は、媒介契約の依頼者(売主)に対し、次のような義務を負います。

 

専任媒介契約した不動産業者の義務
  1. 買主を探して契約条件を調整し、売買契約の成立に向けて積極的に努力する。
  2. 依頼者に、契約書に記載する方法・頻度により業務の処理状況を報告する。
  3. 購入の申込みがあったときは、遅滞なく、その旨を依頼者に報告する。
  4. 売却物件を期限内にレインズに登録し、登録を証する書面を依頼者に交付する。

※参考:標準専任媒介契約約款4条1項、標準専属専任媒介契約約款4条1項

 

不動産業者が、これらの義務を履行しない場合は、相当の期間を定めて履行を催告し、その期間内に履行がないときは、専任媒介契約を解除できます。

 

売主の都合で解約すると、契約期間中の経費を請求される

不動産業者に責任はなく、売主側の事情で専任媒介契約を解除すると、契約期間中の経費を請求される場合があります。不動産業者は、自らの責任によらない理由で依頼者から媒介契約が解除されたときは、媒介契約の履行のために要した費用(広告費などの実費)を約定報酬額の範囲で、依頼者に請求できます(標準専任媒介契約約款14条、標準専属専任媒介契約約款13条)

 

もし、専任媒介契約を解約して費用を請求された場合は、支払う必要のない費用まで請求されていないか、費用の明細をチェックすることが大切です。もちろん、不動産業者が契約義務を履行しないことが原因で媒介契約を解除した場合など、不動産業者に責任がある場合は、支払う必要はありません。

 

不動産業者から不当な請求がされるようなら、地元の宅建協会(宅地建物取引業協会)に相談してみるとよいでしょう。

※宅建協会のWebサイトにリンクしています。

 

媒介契約を解除するときは、必ず書面を交わす

専任媒介契約を契約期間の途中で解除する場合は、はっきりと解約の意思を示し、不動産業者も契約解除に合意したことが分かるように書面を交わすことが重要です。

 

口頭で専任媒介契約の解消を伝えただけでは、あとにでトラブルになる可能性があるので注意してください。

 

口頭で契約解除を伝えただけでは、あとで違約金を請求されるリスクがあります!

例えば、口頭で専任媒介契約の解除を伝えていただけでは、新しく媒介契約した業者の仲介で売買契約が成立したとき、前に専任媒介契約していた業者から違約金を請求される可能性があります。

 

専任媒介契約の有効期間中は、売主は他の不動産業者と媒介契約できません。違反すると、業者は違約金を請求できます。

 

口頭で媒介契約の解除を伝えていただけでは、解約したことを立証できません。売買契約が、前の業者との媒介契約書に記載された有効期間中であれば、違約金を請求されるリスクがあるのです。

 

違約金を請求される場合とは?

違約金の支払いを請求されるのは、売主が契約違反をした場合です。専任媒介契約約款では、2つの場合が規定されています。

 

1つは、専任媒介契約の有効期間内に、売主が他の不動産業者の媒介により売買契約を成立させたときです。

 

専任媒介契約・専属専任媒介契約では、依頼者は、目的物件の売買の媒介を、他の不動産業者に重ねて依頼することが禁止されています。依頼者がこれに違反し、売買契約を成立させたときは、不動産業者は依頼者に対して、約定報酬額に相当する金額(消費税相当額を除く)の違約金の支払いを請求することができます(標準専任媒介契約約款11条、標準専属専任媒介契約約款11条1項)

 

また、専属専任媒介契約は、売主が自分で買主を見つけて売買契約することも認められず、違反すると違約金の支払いを請求されます。専任媒介契約は、売主が自分で買主を見つけて売買契約することは認められています(標準専属専任媒介契約約款11条2項)

 

宅建業法(宅地建物取引業法)では、「依頼者が他の宅地建物取引業者に重ねて売買又は交換の媒介又は代理を依頼することを禁ずる媒介契約」を「専任媒介契約という」と定めています(宅建業法34条の2第3項)

 

専属専任媒介契約は、「依頼者が当該宅地建物取引業者が探索した相手方以外の者と売買又は交換の契約を締結することができない旨の特約を含む専任媒介契約」という位置づけです(宅建業法34条の2第9項)

 

もう1つは、反社会的勢力の排除に関する規定です。

 

依頼者と業者は、それぞれ相手方に対し、反社会的勢力と関係がないこと、相手方に対する脅迫・暴力行為を行わないこと等を確約し、それに反することが判明したときや反する行為をしたときには、その相手方は何らの催告を要せずして専任媒介契約を解除することができます(標準専任媒介契約18条1項・2項、標準専属専任媒介契約17条1項・2項)

 

業者がその規定に専任媒介契約を解除した場合には、依頼者に対し、約定報酬額に相当する金額を違約金として請求することができます(標準専任媒介契約18条3項、標準専属専任媒介契約17条3項)

 

通常の場合の契約の解除は、標準媒介契約約款にも規定されている売主の正当な行為であって、契約違反には当たりません。したがって、媒介契約の解除を理由に、違約金の支払を請求されることはありません。

専任媒介契約の業者変更は、契約更新のタイミングがベスト

媒介契約する不動産業者を変更するなら、契約更新のタイミングがベストです。トラブルなく、専任媒介契約する業者の変更ができます。

 

なぜ、媒介契約更新のタイミングがよいのか?

なぜ、媒介契約更新のタイミングであれば、トラブルなく業者変更ができるのかというと、媒介契約は、更新契約をしなければ自動的に終了するからです。契約が終了した時点で、新しい業者と専任媒介契約すればよいだけなのです。

 

専任媒介契約の更新には、依頼者の書面(電磁的方法を含む)による更新の意思表示が必要です(標準専任媒介契約約款15条2項、標準専属専任媒介契約約款14条2項)。不動産業者から「そろそろ契約期間が満了しますが、同じ条件で更新してもいいですか?」と聞かれて、口頭で了承しただけでは、有効な契約更新となりません。依頼者が更新契約書にサインしなければ、契約の有効期限を経過すると、専任媒介契約は自動的に終了するのです。

 

また、媒介契約においては、不動産業者が売主に請求できるのは成功報酬の「仲介手数料」だけですから、売買が成立しなければ、売主に費用を請求することはできません。

 

「専任媒介契約の解除」でなく「専任媒介契約の終了」であることがポイントです。

 

専任媒介契約の有効期間中は、他の業者と重複して媒介契約できない

注意が必要なのは、専任媒介契約の有効期間中は、他の不動産業者と重複して媒介契約できない、ということです。違反すると、違約金を請求されます(標準専任媒介契約約款12条、標準専属専任媒介契約約款12条1項)。別の不動産業者と媒介契約をしようと考えているなら、現在の媒介契約の有効期限が過ぎるまでは、他の不動産業者と媒介契約しないように気をつけてください。

 

一般媒介契約は、複数の不動産業者と重複して契約できるので、いま現在、一般媒介契約していても、別の不動産業者に売却を依頼したいときは、その別の業者と一般媒介契約すればよいだけです。

 

媒介契約の有効期間は、最長3ヵ月

媒介契約の有効期間は、専任媒介契約・専属専任媒介契約・一般媒介契約のいずれも、最長3ヵ月です。媒介契約書に有効期間が記載されていますから、確認してみてください。

 

専任媒介契約の有効期間

専任媒介契約(専属専任媒介契約を含む)の有効期間は、法律で3ヵ月以内と定めています。仮に、媒介契約書で3ヵ月以上の契約期間が設定されていても、法律上の有効期間は3ヵ月ですから、3ヵ月を超える契約期間は無効となります。

 

専任媒介契約を更新した場合の有効期間も、同じく3ヵ月です。つまり、専任媒介契約は、最長でも3ヵ月ごとの更新となります。

 

宅建業法第34条の2

第3項 依頼者が他の宅地建物取引業者に重ねて売買又は交換の媒介又は代理を依頼することを禁ずる媒介契約(専任媒介契約)の有効期間は、三月を超えることができない。これより長い期間を定めたときは、その期間は、三月とする。

 

第4項 前項の有効期間は、依頼者の申出により、更新することができる。ただし、更新の時から三月を超えることができない。

 

一般媒介契約の有効期間

一般媒介契約は、契約期間について、法律上の規定はありませんが、媒介契約書に契約期間を明記するのが普通です。国土交通省の標準一般媒介契約約款では、一般媒介契約の有効期間は、3ヵ月を超えない範囲で依頼者と不動産会社が協議の上で定めるとされています(標準一般媒介契約約款8条)

新しく媒介契約する不動産業者は決まっていますか?

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もちろん、現在、専任媒介契約・専属専任媒介契約の有効期間中なら、今すぐ他の不動産業者と媒介契約するわけにはいかないでしょう。そんなことをしたら、いま専任媒介契約している業者から違約金を請求されてしまいます。

 

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まとめ

専任媒介契約・専属専任媒介契約は、業者が誠実に売却活動をしないなど契約義務を履行しないときは、解除・解約することができます。この場合、特に費用を請求されることもありません。

 

ただし、業者の責任でなく売主の都合で専任媒介契約・専属専任媒介契約を解除・解約する場合は、契約期間中に業務の遂行に要した費用の支払いを請求されることがありますから、注意が必要です。

 

媒介契約の期間は、最長3ヵ月です。媒介契約の期限まで待てるのでしたら、媒介契約が終了するタイミングで、新たな業者と専任媒介契約・専属専任媒介契約をし直すと、トラブルなく業者変更できます。