空き家になった実家を「売る」か「貸す」か、後悔しない判断の仕方とは?

実家を貸すか売るかの判断

 

空き家になった実家を「売る」か「貸す」かを決めるとき、「売るのがトクか、貸すのがトクか」と損得で考えがちです。しかし、損得で考えると、正確な試算が面倒で、判断が難しく、後悔することが少なくありません。

 

大事なのは、自分のライフプランに照らして判断することです。そうすれば判断しやすく、後悔することもなくなります。

 

「住むつもり」も「貸すつもり」もないなら、迷わず売却です。賃貸経営のリスクを覚悟の上で、収益物件として活用することを考えているなら、賃貸に出すのもありです。

 

問題は、「せっかくだから誰かに貸して、家賃収入を得るのもいいかな」という軽い気持ちで、賃貸に出すことを考えている場合です。相続した実家の有効活用が話題になることがよくありますが、大家業で安定した収入を得るのは簡単ではありません。

 

いまや、相続する不動産の多くが「負動産」です。安易に賃貸に出すことを考えているなら、いますぐ売るのが賢明です。

 

みずから住むつもりのない相続空き家は、売却を基本とし、好立地・好条件の物件であれば、賃貸に出すこともあり得ると考えるとよいでしょう。

 

賃貸に出す場合は、十分にリスクを理解した上で判断することが大切です。

 

具体的に見ていきましょう。

 

 

まずは「実家の価値」を調べる

実家の価値

 

まずは、「いくらで売れるか」を調べることから始めます。実家の価値が分からなければ、売るにしても、貸すにしても、判断のしようがありません。

 

「売れる価格」を調べるには、次のような2つの方法があります。

 

売れる価格を調べる2つの方法
  1. 周辺の売り出し物件の販売価格から見当をつける方法
  2. 不動産業者に査定を依頼する方法

 

「売れる価格」とは、「これくらいで売れるであろう」と考えられる価格のことです。

 

【1】周辺の売り出し物件の販売価格から見当をつける

売り出し物件から価格を推計

不動産会社のチラシや不動産ポータルサイトに載っている実家周辺の売り出し物件の価格から、実家がいくらで売れそうか、おおよその見当をつけることができます。

 

ただし、この方法で分かるのは、あくまでも、ごくごく大まかな価格の目安にすぎません。

 

マンションなら、類似物件の1㎡あたりの単価から自分の物件の価格を推計することもできますが、戸建ての場合は、土地と建物の価値が異なるため簡単にはいきません。

 

また、自分の不動産の個別事情(プラス要因・マイナス要因)は考慮しないので、「見当をつけていた価格では到底売れない」ということもあり得るし、逆に「もっと高く売れる」ということもあり得ます。

 

この方法で売れる価格の見当をつけるときは、次の2つの点に特に注意してください。

 

広告の販売価格は、売れる価格より高め

1つは、広告に掲載している価格は、実際に成約に至る価格より高めということです。

 

売り出し価格は、査定価格よりも10%程度高めにしているのが一般的です。したがって、売れる価格は、広告に表示した価格の9割程度と考えるとよいでしょう。

 

古い実家は、既存不適格の場合がある

もう1つは、不動産それぞれの個別の価値をふまえないと、売れる価格は分からないということです。特に、古い実家は「既存不適格」の場合があるので、注意が必要です。

 

「既存不適格」とは、建築当時は適法だった建物が、その後の法改正等により、現行法に照らすと不適格な部分があることです。代表的なのは、再建築不可物件です。建物を取り壊して建て替えができませんから、相場の価格で売ることはできません。

 

【2】不動産業者に査定を依頼する

不動産業者に査定を依頼

自分で売れる価格を調べるには限界があり、売れる価格を正確に調べるには、不動産業者に査定を依頼する必要があります。

 

実家の近くの不動産業者を探して査定を依頼してもよいのですが、もっと簡単に正確な売れる価格を調べる方法があります。

 

それは、不動産一括査定を利用する方法です。中でも「イエイ」をおすすめします。

 

「イエイ」は、不動産一括査定のパイオニアとして最も歴史と実績があり、信頼できるサービスを提供しています。完全無料で利用できます。

 

他の不動産一括査定の中には、エリアや物件を限定している場合がありますが、「イエイ」は、全国どこでも、どんな物件でも対応可能です。

 

「イエイ」なら、どんなに遠く離れた場所にある実家でも、物件情報を入力するだけで、一番高く早く売れる不動産業者を一瞬で探し出し、査定を依頼することができます。

 

利用するかどうかは別としても、チェックしておいて損はないでしょう。

 

 

「イエイ」を利用する もう1つのメリット

不動産一括査定「イエイ」を利用するメリットは、正確な売れる価格が簡単に分かるというだけではありません。

 

実家を貸すことが選択肢にある場合には、査定価格とともに、賃貸に出したときの収支見通しも出してもらうことができます。もちろん無料です。

 

売った方がトクか、貸した方がトクか、専門家による試算とアドバイスをふまえて、判断することができるのです。

 

売却は諸費用や税金を差し引いて手元に残る金額がポイント

不動産売却にかかる諸費用

 

不動産業者に査定を依頼するなどして、実家の売れる価格が分かったら、売却にかかる諸費用や税金を差し引いて、最終的に手元にいくら残るかを計算します。

 

実家を売るか貸すかを判断するとき、売る場合は、最終的に手元にいくら残るかが比較対象になります。

 

不動産売却にかかる主な費用は、不動産業者に支払う仲介手数料、所有権移転登記に要する費用(登録免許税・司法書士費用)、売買契約書に貼る印紙代(印紙税)です。売却益が生じた場合は、譲渡所得税が課税されます。

 

ここでは、相続した空き家を売却するとき、特に注意が必要な仲介手数料と譲渡所得税について見ておきましょう。

 

空き家の売却にかかる仲介手数料

空き家売却の仲介手数料

仲介手数料は、基本的に売買価格に応じて決まりますが、価格の安い空き家の売却は特例があります。

 

売買価格が400万円以下の空き家の仲介手数料は、特例として、売買価格に関係なく一律上限18万円まで請求できるようになっています(2018年1月1日より)。これに消費税が加算されます。

 

例えば、売買価格が100万円の場合、本来の仲介手数料の上限は、消費税別で売買価格の5%で5万円ですが、条件を満たせば18万円まで仲介手数料を請求することが認められます。売買価格が50万円なら、仲介手数料は本来2万5千円のところ、18万円まで請求できます。

 

このように空き家の売却は、売却価格が低いほど仲介手数料の負担割合が大きくなりますから、注意してください。

 

仲介手数料の計算式

売買価格が400万円超の場合、仲介手数料は、売買価格の3%+6万円です。これに消費税が加算されます。

 

売買価格が400万円以下の場合、本来は、200万円以下の場合と200万円を超え400万円以下の場合に分かれ、売買価格が200万円以下の場合は売買価格の5%、売買価格が200万円を超え400万円以下の場合は、売買価格の4%+2万円です。それぞれ、消費税が加算されます。

 

仲介手数料の計算方法について詳しくはこちらをご覧ください。

 

節税のポイント

不動産売却の税金

実家を売って利益が出たときは、売却益(譲渡所得)に所得税や住民税がかかります。

 

売却益とは、売れた価格から、実家を取得したときの費用や売るのに要した費用を差し引いたものです。売却益がなければ、税金はかかりません。

 

実家の売却で、「税金を少なくする」あるいは「税金がかからないようにする」ポイントは、次の3つです。

 

①売却価格から控除する取得費を適切に算出すること、②特別控除の特例の適用を受けられるよう条件を整えて売ること、③税務上の所有期間5年を超えてから売ることです。

 

実家を売却して、多額の譲渡所得が発生しそうなときは、注意してください。3つの節税対策について、見ていきましょう。

 

取得費を適正に算出する

相続した実家の場合、ずいぶん昔に購入していたり、先祖代々受け継いだものであったりして、取得費が分からないことが少なくありません。

 

取得費が不明の場合は、売却価格の5%を取得費とみなして譲渡所得税を計算する概算取得費控除が一般的です。ただし、概算取得費控除は、売却価格から5%分しか控除できないので、売却価格の95%に課税されることになります。

 

概算取得費でなくても、取得費の算定方法について合理的に税務署に説明できれば、それを取得費として控除することが認められる場合があります。詳しくは、取得費不明の場合に取得費を算出する方法をご覧ください。

 

また、相続した実家の売却は、条件を満たせば、相続税の一部を取得費に加算することができます(⇒相続税の取得費加算の特例)。

 

特別控除の適用を受ける

相続した空き家を売却したとき、条件を満たせば、特別控除の特例の適用を受けられます。

 

譲渡所得から最大3,000万円を控除できますから、特例を適用できれば、3,000万円を超える譲渡所得が生じない限り、譲渡所得税はかかりません。

 

相続空き家を売却したときの3,000万円の特別控除の特例は、居住用財産を売却したときの3,000万円の特別控除の特例と違い、対象となる家屋や売却の方法について条件があり、期限も設けられていますから、注意が必要です。

 

相続した実家に相続人が住んでから売ることで、「居住用財産(マイホーム)を売却したときの3,000万円の特別控除の特例」の適用を受けることが可能となります。

 

ただし、居住用財産を売却したときの特別控除の特例の適用を受けるには、そこに実際に住み、生活していることが必要です。住民票を移しただけでは認められません。税務署から、そこに住んでいたことの確認として、電気料金や水道料金の領収書の提示を求められることもあります。

 

税務上の所有期間5年を超えてから売ること

不動産売却にかかる譲渡所得税・住民税は、売却した不動産の所有期間によって税率が異なります。所有期間が5年を超えると、税率が下がります。

 

相続した実家は、被相続人(死亡した人)の取得した時期が相続人に引き継がれますから、たいてい所有期間は5年を超え、長期譲渡所得の税率が適用されます。

 

所有期間が5年以下の短期の場合は、5年超となった時点で売却するか、速やかに売却するか、売却時期を判断する必要があります。

 

売却時期を先送りする場合、その間の維持管理費や固定資産税などの支払いが発生します。場合によっては、相続税の取得費加算の特例の適用可能期限(相続開始後3年10ヵ月以内)も考慮しなければなりません。

 

そういったことを総合的に判断することが必要です。

 

税務上の所有期間は、実際の所有期間とは異なり、売った年の1月1日時点で所有期間が5年を超えているかどうかで判断します。

 

詳しくは、長期譲渡所得と短期譲渡所得の違いをご覧ください。

 

賃貸に出す「2つのメリット」「4つのリスク」

賃貸のリスク

 

賃貸に出せば、月々家賃収入が入ってきます。「不労所得」を得られるのは大きな魅力です。そのため、「売る」以外に「貸す」ことが選択肢になるのですが、賃貸経営にはリスクがともないます。

 

空き家になった実家を賃貸に出すことを考える場合には、メリットにだけ目を奪われることのないよう、デメリットやリスクを十分に理解した上で判断することが大切です。

 

空き家を賃貸に出す「2つのメリット」「4つのリスク」をまとめておきます。

 

空き家を賃貸に出す2つのメリット

空き家を賃貸に出すと、次のようなメリットがあります。

 

メリット① 家賃収入が得られる

空き家を賃貸に出す最大のメリットは、家賃収入が毎月入ることです。

 

しかも、戸建てや分譲マンションは、一般の賃貸仕様のアパートに比べ、同じような広さ・間取りでも、キッチンなど設備機器のグレードが高いので、賃料を高めに設定しやすいメリットがあります。

 

メリット② 節税になる

もう1つのメリットは、賃貸に出すと、所有するためにかかっていた費用を経費として計上でき、節税効果があることです。

 

経費にできるものとしては、業者へ管理を委託した場合の管理費、リフォームや設備の修理・交換の費用、建物の火災保険料、固定資産税や都市計画税などがあります。マンションなら、管理費・修繕積立金も経費にできます。住宅ローンが残っている場合は、金利を経費にすることができます。

 

空き家を賃貸に出す4つのリスク

賃貸経営は、リスクとのたたかいです。賃貸に出す場合には、次のようなリスクがあることを十分理解しておくことが大切です。

 

リスク① 空き室の発生

第1に、空き室リスクです。空き室になると、当然、家賃収入は入りません。都合よく借り手が現れるわけではありません。

 

空き家率が高い地域ほど、空き室リスクも高くなります。今後は人口も世帯数も大きく減少していきますから、空き室リスクがいっそう高まります。

 

それにもかかわらず、相変わらず新築分譲マンションの建設が進み、相続税対策として、需要もないのに賃貸アパートを建ててしまう人が後を絶ちません。空き室リスクが高まる要因ばかりです。

 

リスク② 家賃の下落

人口や世帯数の減少、それにともなう空き家の増加は、家賃引き下げの要因として作用します。

 

都心の好立地な物件以外、すでに地方や郊外では激しい価格競争が始まっています。

 

リスク③ 突発的な費用

賃貸住宅として競争力を維持するためには、定期的なメンテナンスが不可欠です。家賃収入が、丸ごと利益になるわけではありません。

 

突発的に修繕が必要になることもあり、大きな金額になるリスクがあります。

 

リスク④ 売却時のリスク

将来、売却するときには、マイホームとして売ることはできず、収益物件として売りに出すことになります。

 

購入者は、そこに住む個人でなく、収益物件を買う人です。買手は、不動産のプロとなる可能性があり、家賃収入をもとにした利回りだけで判断され、厳しい評価額でしか売れなくなります。

 

賃貸に出す場合の収支の試算方法と注意点

収支見通し

 

賃貸に出す場合の収支計算の基本的な考え方と、賃貸に出すかどうかを判断するときに考慮すべきポイントをまとめておきます。

 

何度も繰り返しますが、甘い見通しで大家業を始めると後悔します。賃貸経営のリスクを十分ふまえて判断することが大切です。

 

収支計算の基本的な考え方

賃料収入から経費や税金を差し引いて、収支を試算します。

 

賃貸に出す場合の収支の試算は、相当面倒です。不動産業者に査定を依頼したときに、あわせて、賃貸に出した場合の収支見通しを試算してもらうとよいでしょう。

 

賃料収入

賃貸に出す場合の収益は、家賃収入がベースになります。賃料は、インターネットなどで周辺の類似物件の賃料を調べると、およその金額が分かります。

 

入居者の入れ替わりがあるので、通常、空き室率を10%と想定し、家賃収入は「9掛け」で計算します。

 

なお、戸建ての場合は、空き家を解体して更地で貸した方がよい場合があります。その場合は、青空駐車場としての賃料を目安とします。

 

ただし、これは都合よく借り手が現れたらの話です。借り手が現れなければ、賃料収入はなく、次に挙げる経費や税金の支払いだけが続くことになります。

 

経費・税金

経費としては、リフォーム費用や、管理業務を業者に委託する管理手数料などがあります。管理手数料は、一般的には家賃の5%程度です。

 

古くなった家を賃貸に出す場合は、多少なりともリフォームした方がよいのですが、リフォーム費用を捻出できない場合は、最近増えている「DIY型賃貸」という方法もあります。

 

そのほか、マンションの場合は、月々の管理費や修繕積立金も必要です。修繕積立金は、築年数が経ったマンションほど高くなる傾向があります。

 

税金は、固定資産税や都市計画税です。

 

賃貸に出すかどうか検討する場合に考慮すべき大事なこと

賃貸に出すかどうかを判断するときは、当面の収支の見通しだけでなく、将来のリスクも考慮する必要があります。

 

当面はそれなりの賃料収入を見込めるとしても、将来は競争が激しくなって、空き室率が高くなったり、賃料相場が下がったりすることが考えられます。そういったリスクも視野に入れ、少し長い目で見ることが大切です。

 

また、将来売るときの資産価値の目減りを考慮することも必要です。

 

戸建ての場合、従来、木造の建物は築20年程度でほぼゼロになりますが、土地は価値が残るとされてきました。しかし、今後は、地価も大きく下がることが予想されます。

 

分譲マンションの場合、戸建てと違い、古くなっても建て替えは困難です。建て替えには、最低でも区分所有者(マンションの住人)の5分の4以上の同意が必要で(区分所有法62条1項)、合意形成が難しいからです。

 

分譲マンションの空き住戸は、戸建て以上に扱いが困難で、将来的には資産価値の大きな目減りが予想されます。

 

まとめ

相続した実家は、空き家になったとしても、思い出があり、簡単には売ったり貸したりできないものです。

 

しかし、空き家の維持管理費は、想像以上にかかります。しかも、「売る」「貸す」の判断を先延ばしにするほど、実家の価値は下がり、売却価格も賃料も下がります。

 

売るにしろ、貸すにしろ、早く決めて実行するほど、損失が少なくて済むのです。

 

相続した実家を売るか貸すか迷っているなら、まずは実家の価値を調べることから始めましょう。不動産業者に査定を依頼すれば、いくらで売れそうか、賃貸に出すと収益が見込めそうか、プロの目で診断し、アドバイスをしてもらえます。

 

実家の近くの不動産業者に査定を依頼するのもいいのですが、実家が遠く離れていれば、信頼できる不動産業者を探すのも大変です。そんなときは、不動産一括査定「イエイ」を利用すると、相続した実家のエリアに強い、信頼できる不動産業者を簡単に探せます。

 

査定の依頼をはじめ、賃貸に出す場合の収支見通しの試算、売るのがトクか貸すのがトクかの相談など、完全無料で利用できます。不動産業者による買取の相談も可能です。

 

相続した実家を売るか貸すか悩んでいるなら、一度チェックしてみてください。