取得費加算の特例で、相続した実家の譲渡所得税を減らせる

取得費加算の特例

 

実家を相続したものの相続税が払えず、相続税を支払うために相続した不動産を売却したら、譲渡所得税まで支払う羽目に…。これでは踏んだり蹴ったりです。

 

そういう事態を避けるため、相続税の課税対象となった相続財産を、相続から一定期間内に売却した場合に、相続税と譲渡所得税が相次いで課税されることのないようにする特例があります。

 

それが「取得費加算の特例」です。正式には「相続税が取得費に加算される特例」または「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」といいます。

 

取得費加算の特例とは、ひと言でいえば、相続税相当額を譲渡所得から控除できる制度です。詳しく見ていきましょう。

 

 

相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例とは

取得費加算の特例とは、相続により取得した土地・建物などを、一定期間内に譲渡した場合に、相続税額のうち一定金額を譲渡資産の取得費に加算することができるというものです(参考:国税庁・タックスアンサー)

 

取得費加算額(取得費に加算される相続税額)の計算方法

取得費に加算できる相続税額は、売却した相続財産に対応する相続税額です。

 

相続財産を全部売却した場合は、相続税全額が取得費加算額です。相続財産の一部を売却した場合は、全相続財産の相続税評価額のうち、譲渡資産の相続税評価額の割合を相続税額に乗じた額が、取得費加算額となります。

 

つまり、取得費加算額は、次のような計算式になります。

 

取得費加算額の計算式

取得費加算額 = A ×(B / C)

  • A:支払った相続税額
  • B:相続財産のうち売却した不動産に対する相続税評価額
  • C:相続財産の相続税評価額の合計額(債務控除前の額)

 

取得費と取得日は被相続人から相続人に引き継がれる

相続した土地・建物の取得費と取得日は、被相続人から相続人に引き継がれます。

 

したがって、相続により引き継いだ取得費に、相続税額を加算した額が、控除できる取得費となります。取得日も相続により引き継ぎますから、たいていは長期譲渡所得の低い税率が適用できます。

 

概算取得費(売却価額の5%)を取得費とする場合も同様に、概算取得費に相続税額を加算した額が取得費となります。

 

譲渡所得と譲渡所得税の計算方法

譲渡所得税の計算方法を簡単に見ておきます。課税対象となる譲渡所得は次のように計算します。

 

譲渡所得=譲渡収入-取得費-譲渡費用

 

譲渡所得に、所有期間に応じた税率をかけて、譲渡所得税を計算します。譲渡所得税の計算方法について詳しくはこちらをご覧ください。

 

取得費加算の特例の適用要件

取得費加算の特例の適用を受けるための要件は、次の3つです。

 

  1. 相続や遺贈により財産を取得していること。
  2. 相続税が課税されていること。
  3. 相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること。

 

注意が必要なのは、3つ目の要件です。相続税の申告期限は「被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヵ月以内」ですから、相続後3年10ヵ月以内に売却することが要件となります。

 

相続開始後3年10ヵ月を過ぎて売却すると、取得費加算の特例は受けられないので注意してください。

 

相続空き家を譲渡したときの特別控除の特例と併用できない

実家を相続し、空き家になっている場合、相続空き家を売却したとき、一定の要件を満たせば「相続空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」の適用を受けることができます。

 

なお、「相続空き家を譲渡した場合の特別控除の特例」を適用する場合は、「相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例」を適用することはできません。どちらか一方の特例を選択して適用することができます。

 

まとめ

相続した実家を売却するときは、相続から3年10ヵ月以内に売却すれば、売却した不動産の相続税額を取得費に加算することができ、譲渡所得税を減らすことができます。

 

なお、取得費加算の特例は、相続空き家を売却したときの特別控除の特例との選択適用となりますから、いずれか有利な方を選んでください。

 

取得費加算の特例について、国税庁HPの次のページも参考にご覧ください。

 

 

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