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空き家は、あなたが思っている以上に「金食い虫」です。実家を相続し、「住むつもりはないけど、しばらくはそのまま置いておこう」と思っている方は、ご注意ください。
空き家の維持費・管理費として、どんな費用が、どれくらいかかるのか、主なものを見てみましょう。
空き家にも固定資産税がかかります。空き家のある地域によっては、都市計画税がかかる場合もあります。しかも、空き家を適正に管理せず放置しておくと、税金が高くなります。
固定資産税は、毎年1月1日時点で所有している土地・家屋に課せられる税金です。固定資産税の標準税率は1.4%です。課税標準額に税率を乗じて計算します。
都市計画法による市街化区域にある土地や家屋については、固定資産税に加えて都市計画税も課税される場合があります。都市計画税の制限税率は0.3%です。
住宅用地については、固定資産税と都市計画税の軽減措置(住宅用地特例)がありますが、必要な管理を怠り、住居として使用される見込みがないと判断された場合や、空家法に定める特定空家等に認定され、必要な措置を講じるよう勧告を受けた場合は、住宅用地特例の適用対象から除外されます。
住宅用地特例の適用を受けられなくなると、固定資産税が最大6倍に、都市計画税が最大3倍に跳ね上がる場合がありますから、適切な維持管理が大切です。
国土交通省は、2021年6月30日、空家法の基本指針とガイドラインを改正しました。幅広く特定空家と認定し、行政指導や行政処分を強化する方針です。
空き家の立ち入り調査を進める中で、住宅と認められない状態の場合や、必要な管理が行われておらず、今後居住の用に供される見込みがないと認められる場合は、税務部局と情報共有し、積極的に住宅用地特例を解除する方向性も示しました。
今後は、空き家のまま放置していると、住宅用地特例の適用を受けられなくなるリスクがあります。
戸建て住宅・分譲マンションに共通の維持管理費として、固定資産税や都市計画税のほか、次のような費用があります。
家は、住む人がいなくなると、閉め切っているため湿気がこもり、劣化が進みやすくなります。ですから、月に1回程度は、窓を開けて風を通し、空気を入れ替え、掃除をすることが必要です。
そのためには、水道や電気は契約したままにしておく必要があります。
水道を止めると、水道管がさびて破損しやすくなったり、下水が臭ってきたリ、虫が進入してきたリします。定期的に水を通すことが必要です。
電気は、アンペア数を下げ、ブレーカーは常に落としておくなどの節約が必要です。場合によっては、使用する量や頻度によって契約を見直すことも必要です。
水道料金と電気料金あわせて、おおむね年間5万~6万円程度かかります。
実家まで車で何時間もかかったり、電車や飛行機を乗り継がないと行けないような距離だと、往復の交通費が嵩みます。
空き家を自分で管理できない場合は、空き家管理サービスなどを頼む必要があります。
マンションなら、部屋の換気、清掃、通水、雨漏り・カビのチェック、ポストの確認・清掃などを依頼でき、戸建て住宅なら、その上に建物外部の目視点検、防犯確認、庭木の確認なども依頼できます。
業者やプランによって異なりますが、月1回の管理サービスの契約で、費用は月5,000円~1万円程度です。
火災保険は、たいてい空き家を対象外としていますから、住宅としての契約のままだと、万が一のとき、保険金が出ない可能性があるので、注意が必要です。
空き家でも契約できる火災保険はありますが、住居専用として使用する建物(住宅物件)ではなく、店舗や事務所と同じ一般物件となり、保険料は住宅物件の倍近くになります。
人が住んでいる家に比べて管理が適切に行われにくいため、不法侵入による火の不始末から起こる火災や、台風などによる建物の損壊や屋根の落下など、リスクが高いからです。
火事が延焼したり、台風で屋根が飛んだりして、近隣に損害を与えてしまうリスクもあります。空き家の管理が悪いと、過失責任が問われることがあります。
そういうリスクも、住宅物件であれば、火災保険の個人賠償責任特約でカバーできますが、一般物件は対象外です。別途、施設賠償責任保険への加入が必要です。
補償内容や保険金額を抑えることで、保険料を安くすることができます。住宅なら万が一の立て直し費用を考慮して契約するでしょうが、空き家に同水準の保険金は必要ありません。
戸建て住宅に特有の維持管理費としては、次のような費用があります。
庭の草抜きや木の手入れを怠ると、隣家や道路にはみ出したり、害虫が発生する原因となったりして、近隣の迷惑になります。定期的に手入れが必要です。
業者に庭木の剪定を頼むと、数万円の費用がかかります。
戸建て住宅の場合は、十数年に1回程度、屋根や外壁の補修を行う必要があります。建物の大きさや補修内容によりますが、1回100万円以上かかります。その費用を積み立てておく必要があります。
屋根瓦が飛んだり、外壁が剥がれて落下したり、敷地内の木が倒れたりして、周辺の建物や設備、通行人に当たると、それこそ多額の損害賠償を請求されかねません。
建物が老朽化し、解体をしなければならない場合もあります。いつ倒壊するかもわからないような建物を放置しておくと危険です。こういう場合は住宅用地特例が適用されませんから、いずれにしても建物を除却するしかありません。
建物を解体するには、木造住宅なら坪あたり4万~5万円、軽量鉄骨造の建物なら坪あたり5万~7万円が相場とされています。例えば、40坪の木造住宅なら、解体費用は160万~200万円かかります。
(参考:『週刊エコノミスト』2019年7月9日号31ページ)
北国の場合は、雪下ろしや除雪のための費用が必要です。雪下ろしをしないと、家が倒壊する危険があるほか、落雪や倒木により人を怪我させたり、物を損壊させたりする危険もあります。家の前の雪を適切に除雪しないと、通行の妨げにもなります。
土木業者が冬場の仕事として請け負うケースが多く、人手不足もあり、費用は高めです。
1回の雪下ろしに3人派遣され、1人2万円で6万円払ったという方もいます。しかも、その額で、ひと冬に4~5回雪下ろしを頼んだというのですから、雪下ろしの費用は相当高額になります。
(参考:三星雅人『親の家のたたみ方』講談社+α新書113ページ)
分譲マンションの場合は、管理費や修繕積立金が毎月かかります。大規模工事の際には、追加で修繕費がかかる場合があります。古くなるほど建物や設備の不具合が増えるため、修繕積立金が多く必要になります。
中古マンションの管理費と修繕積立金の目安は、次の通りです。
管理費 | 200円/㎡ |
---|---|
修繕積立金 |
築5年以内 90円/㎡ |
※参考:沖有人『空き家は2018年までに手放しなさい』SB新書43ページ。
例えば、70㎡の築41年以上経過した分譲マンションなら、管理費と修繕積立金は、あわせて月29,400円、年間では35万2,800円となります。
国土交通省の「平成30年度マンション総合調査結果」によると、管理費・修繕積立金の全体の平均額(月額/戸当たり)は、次の通りです。
月額/戸当たり |
月額/戸当たり |
|
---|---|---|
管理費 | 10,862円 | 15,956円 |
修繕積立金 | 11,243円 | 12,268円 |
合計 | 22,105円 | 28,224円 |
※参考:国土交通省 平成30年度マンション総合調査結果(平成31年4月26日公表・令和4年4月28日更新分)
マンションの空き家は、戸建ての空き家よりも厄介な問題があります。分譲マンションの住戸は区分所有権に過ぎませんから、建物全体の処分や維持管理の方策を自分だけで決めることができません。
空き家は、保有しているだけで、少なくとも年間20万円程度の維持管理費がかかるといわれています。家屋の劣化が進めば、修繕費もかさみます。その一方で、価値は毎年下がり、売りにくくなります。
相続した実家を、すぐに売却する気にはならないかもしれませんが、移り住む予定もないのに、いつまでも空き家のまま放置しておくことはできません。維持管理の手間や費用が、いずれ重い負担となります。
実家を相続して空き家のまま放置している場合は、特定空家と認定される前に、売却するなり、利活用するなり、早めの対応をおすすめします。
まずは、「今の価値がどれくらいあるか?」から調べてみましょう。売却するか活用するかは、その結果をふまえて検討する方が判断しやすく、後悔することもありません。
\ いま売ったらいくら? /
公開日 2022-05-19 更新日 2023/06/13 20:51:49