任意売却の手続きができる期間・期限

任意売却のタイミングとタイムリミット

 

任意売却は、競売を回避するために行うものなので、いつでもできるわけではありません。任意売却できる期間・期限があります。特に、任意売却できる期限は重要です。その期限を過ぎると、競売を中止できないからです。

 

ここでは、任意売却手続きを開始する時期・タイミングと、任意売却できる期限・タイムリミットについて、見ていきましょう。

 

 

任意売却の手続きを開始するタイミングは?

任意売却の手続きを開始できるのは、住宅ローン債権が不良債権化し、保証会社が代位弁済してからです。

 

したがって、代位弁済通知が保証会社から届いたときが、任意売却の手続きを開始するタイミングといえます。

 

任意売却は代位弁済後でないとできない

そもそも、任意売却は、保証会社が代位弁済した後でなければできません。それは、次の2つの理由から、任意売却の交渉相手が保証会社となるからです。

 

金融機関は任意売却に応じる必要がない

債務者が返済できなくても保証会社が代位弁済するので、金融機関は、任意売却に応じません。債権回収を図るなら、競売の申立てや任意売却など非効率な手続きは必要なく、保証会社に代位弁済を請求すればよいだけです。

 

任意売却が現実の問題となるのは、代位弁済により、保証会社が債権者となってからです。

 

抵当権は保証会社が設定している

本来、代位弁済によって債権者が代わるのにともない抵当権を移転しますが、抵当権の移転には時間や登記費用がかかるため、保証会社の保証がある場合は、あらかじめ保証会社が抵当権を設定しています。

 

代位弁済によって債権が保証会社に移り、抵当権の実行が現実のものとなったとき、債権者・抵当権者である保証会社を相手に、任意売却の交渉ができるのです。

 

相談は、住宅ローンの返済ができなくなったら早めに!

保証会社が代位弁済すると、一気に競売へ動き出します。

 

任意売却の手続きを開始できるのは代位弁済後だとしても、任意売却の準備は、代位弁済の前からできます。早めに相談することで、余裕をもって任意売却に向けた準備ができ、それだけ有利な条件で売却できる可能性が高まるのです。

 

住宅ローンの返済が厳しくなったとき早めに相談すれば、住宅ローンの返済をストップし、不良債権化させることもできます。「返済できない」と悩み続けるのと、自分の意思で「返済をストップする」のとでは、精神的ストレスが全然違います。

 

滞納初期の段階で、返済を続けていけるかどうかは、本人が一番分かっているはずです。返済が難しくなって「もう売るしかない」と思ったら、早めに相談することが大事です。

 

 

任意売却できるタイムリミットは?

「任意売却は、いつまでできるか?」は、競売の進行と深く関係します。

 

競売開始決定後でも、競売を申立てた債権者に任意売却を申し出れば、競売の申立てを取下げてもらえる可能性があります。

 

しかし、任意売却を申し出ても、競売の申立てを取下げてもらえず、競売手続の進行と並行して任意売却の手続をしなければならないことも少なくありません。この場合、競売申立ての取下げが可能な期限までに、任意売却を完了しなければ、競売によって担保不動産を失うことになります。

 

つまり、「競売申立ての取下げが可能な期限」が「任意売却が可能な期限」です。その期限までに任意売却すれば、競売を回避できます。

 

競売申立ての取下げが可能な期限、任意売却が可能な期限について、具体的に見ていきましょう。

 

競売申立ての取り下げは、いつまで可能か

競売手続きの大まかな流れと競売申立て取下げの可否は、次の通りです(民事執行法76条)

 

競売申立て 申立人の意思のみで自由に取下げ可能
競売開始決定
期間入札
開札 取下げには、最高価買受申出人と次順位買受申出人の同意が必要
売却許可決定
代金納付 取下げ不可
配当

競売手続きの流れの詳細はこちらをご覧ください。

 

  • 開札期日の前日までは、申立人が裁判所に取下書を提出するだけで、競売申立ての取下げが可能です。
  • 開札して落札者(最高価買受申出人)が決定した後は、落札者が代金を納付する前なら、落札者と次順位者の同意を得れば、競売申立ての取下げが可能です。
  • 落札者(買受人)が代金を納付した後は、競売申立ての取下げはできません。

 

つまり、競売入札で買受人が決まり、代金が納付されるまでは、いつでも競売の申立てを取り下げることができます。

 

ただし、申立人の意思のみで自由に取下げができるのは、開札期日の前日まで。開札期日以降に競売申立てを取下げる場合は、入札者の同意を取り付ける必要があります。

 

買受人が代金を納付した後は、申立ての取下げはできません。

 

競売申立ての取下げが可能な期限については、札幌地方裁判所民事第4部不動産競売係のパンフレットに分かりやすい説明があります。

 

(最高裁のWebサイトにリンクしています)

 

競売の申立て取下げは簡単ではない!

債権者が競売を申し立てる目的は、担保不動産を売却して債権を回収することです。競売開始が決定した以上、任意売却によって「確実に競売より高く売却できる」見込みがない限り、債権者が競売の申立てを取下げることはありません。

 

任意売却は、いつまで可能か

買受人が代金を納付するまでは、法律上、競売申立ての取下げが可能ですから、それまでは任意売却できます。

 

とはいえ、開札後の競売取下げには入札者の同意が必要です。新たな利害関係者が増え、トラブルになる恐れも高まります。申立人が、わざわざリスクを犯してまで、自ら望んでいるわけでもない競売取下げの申請をすることはありません。

 

つまり、任意売却できる期限は、開札期日の前日までと考えるべきでしょう。

 

しかも、その期限までに、任意売却の手続きを全て終える必要があります。債権者と販売価格の交渉をして売りに出し、買主を見つけ、債権者と配分案を調整し、抵当権の抹消について債権者の社内稟議を通してもらいます。それと並行して売買契約を締結し、決済を完了させなければなりません。

 

こうした一連の業務を行うには、相応の時間がかかります。すでに買ってくれる人が決まっていたとしても、1ヵ月ほどは必要でしょう。買主を見つけることから始めるなら、もっとかかります。

 

期間入札開始期日の1ヵ月前までに任意売却の申し出をしないと、それ以降はいっさい受け付けないサービサー(債権回収会社)もあるようで、いつまでに任意売却を申し出ればよいかは債権者によって異なります。

 

なので、債権者に任意売却を申し出るタイムリミットは、一概には言えません。

 

しかし、これだけは確かです。競売開始決定後でも任意売却はできます。任意売却は時間との戦いです。任意売却に詳しい不動産業者に早く相談し、余裕を持ったスケジュールで臨むと、任意売却が成功する可能性が高まります。

 

まとめ

任意売却は、競売を回避するために行いますから、時間との戦いです。すでに裁判所が競売開始を決定しているなら、競売申立ての取下げが可能な期限までに任意売却を終えなけれまなりません。競売申立ての取下げができる期限が、任意売却できるタイムリミットです。

 

一方、任意売却の手続きを開始できるのは、保証会社が代位弁済してからです。

 

しかし、任意売却の相談は、代位弁済されるまで待つ必要はなく、住宅ローンの返済ができなくなったときは、滞納初期の段階で早めに任意売却に詳しい不動産業者に相談することが大切です。任意売却は、余裕を持って行うことが成功の秘訣です。

 

競売の手続きが進行し、競売入札が迫っていても、任意売却できる可能性はありますから、あきらめずに相談してみてください。

 

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