共有名義の不動産を自分の持ち分だけ第三者に売れるか?

共有物件

 

共有名義の不動産を売却するには、共有者全員の同意が必要ですが、自分の持ち分(所有権)については、共有者の同意を得なくても第三者に売ることができます

 

ただし、共有物件の持ち分(所有権)を売るのは、たいてい共有者の同意を得るのが難しい物件ですから、持ち分だけを買う人は稀で、買う人がいても、かなり安い金額になることは避けられません。

 

共有者の合意が難しい場合は、裁判所に共有物分割請求訴訟を提起する方法もありますから、持ち分を売るのは「最後の手段」と考えるのがよいでしょう。

 

ここでは、共有不動産の持ち分を売るときの注意点と、共有物件を分割する(共有を解消する)方法について、ご紹介します。

 

 

自分の持ち分(所有権)だけを売ることは可能

共有物件は、共有者全員が同意しなければ売ることはできませんが、自分の持ち分を第三者に売ることは、共有者の同意を得なくても可能です。

 

共有物件の持ち分のことを「共有持分」といいます。持ち分とは、所有権のことです。

 

例えば、実家を兄弟3人で3分の1ずつ相続した場合、土地・建物そのものを売るには、共有者全員の同意が必要ですが、自分の3分の1の持ち分(共有持分)については、他の共有者の同意を得なくても第三者に売ることができます。

 

共有持分の売却価格の相場

共有持分は自由に第三者に売却できるとはいえ、持ち分(所有権)だけを売るのは簡単ではありません。

 

共有持分を買う立場で考えてみてください。共有持分を買ったとしても、他の共有者全員の同意がなければ、その物件を売ることも、貸すことも、住むことさえもできません。

 

ですから、持ち分だけを買う人は少なく、売却価格は安くなります。共有持分の第三者への売却価格は、その不動産価格の10%程度が相場とされています。

 

例えば、1,000万円の共有物件で、自分の持ち分が2分の1の場合、共有持分は500万円です。この共有持分を第三者に売るとすれば、売却価格は500万円の10%で50万円程度となります。

 

つまり、共有不動産を売って売却代金を分配すれば本来500万円が手に入るのに、共有持分を売る方法だと50万円しか手に入れることができないのです。

 

共有持分を買うのは誰か

戸建て住宅やマンションを買うのは、一般的には居住するためです。買取業者が購入し、リノベーションして売る場合もありますが、多くは、個人が居住用に購入します。

 

それに対して、家や土地の共有持分を買うのは、そこに住むためではありません。共有持分を買うのは、個人投資家や、共有持分の買い取りを専門とする買取業者です。

 

共有持分を買ってどうするかというと、持ち分に応じて居住者に家賃を請求したり、共有物分割請求訴訟を提起し、裁判所の命令によって競売にかけ、持分割合に応じた金額を受け取るのです。

 

共有物を分割する(共有を解消する)方法

共有物件の場合に自分の持ち分を第三者に売却するという選択は、共有者との関係が最悪の状態となった最後の手段と考えるとよいでしょう。

 

できるだけ、共有物を分割する(共有を解消する)方法を模索するべきです。持ち分だけを売るのは損です。

 

共有物件を分割する(共有を解消する)方法には、協議による方法と裁判所に分割請求する方法があります。

 

協議による共有物の分割

共有者の協議によって分割するときは、どのような方法でもかまいません。

 

現物分割が可能な物件なら、協議により現物を分割する方法があります。

 

現物分割ができない場合は、物件そのものを共有者といっしょに売って、売却代金を持分割合に応じて分け合う方法や、他の共有者に自分の持ち分を買い取ってもらったり、共有者の1人が単独所有者となって他の共有者に補償金を払う方法があります。

 

共有物分割請求訴訟の提起

共有物の分割について共有者間に協議が調わないときは、裁判所に訴えを起こして、分割を裁判所に請求することができます(民法258条1項)。これが、共有物分割請求です。

 

土地のように分筆によって現物分割できる場合はいいのですが、現物分割できない物件もあります。

 

共有物の現物を分割することができないとき、または分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは、裁判所は、その競売を命ずることができます(民法258条2項)。競売にかけ、売却代金を分配する方法です。

 

さらに、法律に明文されていませんが、最高裁判例により、共有物を共有者のうちの1人の単独所有とし、他の共有者に対して持分の価格を賠償させる方法(全面的価格賠償の方法)も認められます。

 

共有物分割に関する最高裁判例

 

民法258条により共有物の分割をする場合において、当該共有物を共有者のうちの特定の者に取得させるのが相当であると認められ、かつ、その価格が適正に評価され、当該共有物を取得する者に支払能力があって、他の共有者にはその持分の価格を取得させることとしても共有者間の実質的公平を害しないと認められる特段の事情があるときは、共有物を共有者のうちの1人の単独所有または数人の共有とし、これらの者から他の共有者に対して持分の価格を賠償させる方法(いわゆる全面的価格賠償の方法)によることも許される。

 

最高裁判決(平成8年10月31日・第一小法廷)
※最高裁のWebサイトにリンクしています。

 

まとめ

家や土地を共有名義にしていると、税金控除のメリットがある一方で、共有者の誰か1人でも反対すれば、その物件は売ることも貸すこともできないデメリットがあります。

 

共有名義の不動産を売るには共有者全員の同意が必要ですが、持分(所有権)については、他の共有者の同意を得ることなく売却することができます。

 

ただし、共有持分の売却価格の相場は、共有持分の10%程度ですから、持ち分だけを売るのは損です。

 

できれば共有者と粘り強く協議し、共有の分割・解消を模索することをおすすめします。

 

共有者と協議するにあたり、共有物件が、どれくらいの価格で売れそうか査定をしておくと、交渉をスムーズに進められます。

 

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