不動産売却査定ガイド|家・土地・マンションを高く早く売るコツ

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  • 共有物件
    共有名義の土地・家・マンションを自分の持ち分(共有持分)だけ売る
    共有名義の不動産を売却するには、共有者全員の同意が必要ですが、自分の持ち分(共有持分)のみの売却は、他の共有者の同意を得なくても可能です。ただし、共有持分の売却価額は低額となります。ここでは、共有持分の売却方法、共有持分の買取を相談する不動産業者の選び方について、ご紹介します。共有持分の売却方法まず、共有持分の売却方法についてです。共有持分の売却は、一般的な不動産売却の方法、すなわち、不動産業者の仲介により買主を探して売却する方法では困難です。共有持分はどのように売却するのか、共有持分を買うのは誰か、共有持分の価格相場は不動産時価額のどれくらいか、見ていきましょう。共有持分は自分の意思だけで自由に売却できる共有名義の不動産は、共有者全員が売却に同意しなければ、売ることはできません(民法251条1項)。しかし、自分の持ち分(共有持分)だけを売ることは、他の共有者の同意を得なくても可能です(民法206条)。民法206条所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。民法251条1項各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。変更を加える場合のほか、共有となっている物全部(自分の持分権ではなく)を処分しようとするときにも、他の共有者全部の同意がいります。(参考:『改訂増補版 口語民法』自由国民社 136~137ページ)例えば、実家を兄弟3人で相続し、共有持分が3分の1ずつの場合、実家を売るには兄弟3人全員の同意が必要ですが、自分の3分の1の持ち分(共有持分)だけを売る場合には、他の共有者の同意は不要です。ポイント共有名義の不動産を売却するには、共有者全員の同意が必要ですが、共有持分だけの売却は、他の共有者の同意を得なくても可能です。共有持分を買うのは誰か共有持分の売却は自由にできるとはいえ、みずから共有持分の購入を希望する個人の第三者はいません。第三者が共有持分を買い取ったところで、共有持分だけでは、自由に売却することも活用するこもできないからです。そもそも共有持分を売るのは、共有物件の売却や活用に他の共有者の同意を得るのが難しい場合です。一般の第三者が、他の共有者の同意を得ることは容易でなく、権利関係のトラブルに巻き込まれるリスクを負うだけです。個人の第三者が、リスクしかない共有持分を買うことはありません。共有持分の買主となり得るのは、「他の共有者」もしくは「共有持分を専門に扱う買取業者」に限られます。他の共有者に買取してもらう共有持分の売却方法として、まず1つは、自分以外の共有者に買い取ってもらう方法があります。その共有不動産の全部の権利が欲しい、あるいは、権利を増やしたいと考えている共有者がいれば、その共有者にとって、「共有持分を買い取ってほしい」という提案は渡りに船でしょう。ただし、この方法が可能なのは、共有者に共有持分を買い取れる資金力があり、その共有者との関係が良好であって、金額の面で折り合いがつく場合です。専門の買取業者に買取してもらう共有持分の売却方法として、もう1つは、共有持分を専門に扱う買取業者に買い取ってもらう方法があります。自分以外の共有者に買い取ってもらうことができない場合は、この方法が選択肢となります。専門の買取業者であれば、共有持分に関する様々なノウハウを持っているので、買取が可能です。しかも、他の共有者と一切関わることなく、業者との話だけで売却できますから、他の共有者との関係がよくない場合や、他の共有者が不明の場合、他の共有者と連絡が取れない場合なども問題ありません。ポイント共有持分を買う可能性があるのは、「他の共有者」か「専門の買取業者」ぐらいです。それ以外の一般の第三者が買うことはありません。共有持分の売却価格の相場共有持分の売却価格の相場は、買主が、他の共有者か、第三者(専門の買取業者)か、によって異なります。買主が「他の共有者」の場合自分以外の共有者に買取してもらう場合は、共有不動産の市場価格(時価)に近い価額で売却できる可能性があります。計算式は、次のようになります。共有持分の価格=共有不動産の時価×持分割合例えば、共有不動産の市場価格が3,000万円、あなたの共有持分が3分の1とすれば、3,000万円×1/3=1,000万円共有持分の価額は、1,000万円となります。買主が「専門の買取業者」の場合共有持分の買取を専門的に行っている業者が買い取る場合は、共有不動産の時価額の1/2~1/3程度が相場とされています。すなわち、他の共有者に売却する場合の価額の1/2~1/3の価額が相場となります。計算式は、次の通りです。共有持分の価格=共有不動産の時価×持分割合×1/2~1/3例えば、共有不動産の市場価格が3,000万円、あなたの共有持分が3分の1とすれば、3,000万円×1/3×1/2~1/3=500万円~330万円買取業者による共有持分の買取価格は、330万円~500万円となります。共有持分買取業者による買取のメリット・デメリット共有持分を共有者以外に売却するデメリットは、共有持分の売却価額が、共有不動産の市場価格(時価)よりも低額になることです。他方、共有持分を専門の不動産業者に買い取ってもらう場合には、次のようなメリットがあります。専門の買取業者による買取のメリット他の共有者と一切関わることなく、面倒な共有関係から抜け出せる。活用できていない不動産の持分を、まとまった現金に換えられる。早く確実に、最短数日で売却が完了する。共有持分を売却する場合というのは、売却価額にこだわっていられない、差し迫った事情があるものです。なので、共有持分を専門の買取業者に買取してもらうことは、デメリットよりもメリットの方が大きいでしょう。共有持分の売却を相談する不動産業者の選び方共有持分を不動産業者に買取してもらう場合は、業者選びが重要です。業者選びのポイントは、次の3つです。共有持分を専門に扱う不動産業者であること共有持分の買取実績が豊富であること弁護士と連携していること①共有持分を専門に扱う不動産業者であること共有持分の売却を不動産業者に相談する場合には、共有持分を専門に扱っている不動産業者(共有持分買取業者)に相談することが大事です。一般の不動産業者に共有持分の買取を打診しても、取り扱うスキルがありませんから断られます。仮に、共有持分を買い取ってくれるとしても、リスクを考慮し、著しく低い買取額となります。不動産時価額の10%程度の買取額となることもあるようです。それに対して、共有持分を専門に扱っている不動産業者であれば、買取後に他の共有者と信頼関係を築き、不動産を再活用するノウハウを持っています。だから、自社での運用や再販といった事業をおこなうことを目的に、共有持分を買い取ることができるのです。しかも、一般の不動産業者のようにリスクを過大に見積もる必要はなく、おおむね不動産時価額の1/2~1/3程度の価額での買取が可能となります。②共有持分の買取実績が豊富であること共有持分の取扱い実績が少ない業者は、共有持分の扱いに不慣れです。悪徳不動産ブローカーは、取引の安全性よりも自社の利益を優先します。こういった業者は、他の共有者とトラブルを起こしがちです。例えば、あなたと共有持分の売買契約する前に、他の共有者に交渉を持ちかけ、それによって関係が悪化したら、共有持分の買取の話を一方的に打ち切る、ということがあるのです。こうなると、共有者間の関係修復は難しく、他の共有持分買取業者に相談しても、買取が難しくなります。共有持分の買取実績が豊富な優良業者であれば、取引の安全性を優先し慎重に対応しますから、他の共有者とトラブルになる心配なく共有持分の買取が可能です。③弁護士と連携していること共有持分の売買には様々なリスクが潜んでいるので、弁護士と連携し、弁護士のバックアップが見込める不動産業者であれば安心です。すでに共有者間でトラブルが起きている場合、弁護士と連携していない買取業者では、買取を断られる可能性があります。買取後に他の共有者との話し合いがまとまらず、裁判沙汰に巻き込まれてしまうリスクがあるからです。他方、弁護士と連携している不動産業者であれば、すでに共有者間でトラブルになっている物件でも、共有持分を積極的に買取してくれます。買取後の共有者間の話し合いを弁護士を通してスムーズに行うことができるからです。万が一、共有持分の買取の取引中に、共有者間でトラブルが発生した場合でも、サポートしてもらえますから、弁護士と連携いている不動産業者であれば安心なのです。おすすめの共有持分買取業者はこちらまとめ共有名義の不動産を売却するには、共有者全員の同意が必要ですが、共有持分だけの売却は、他の共有者の同意は必要ありません。共有持分のみの売却は、自由にできます。とはいえ、共有持分のみを買う一般の第三者はいませんから、事実上、売却先は、「他の共有者」もしくは「共有持分の買取業者」に限定されます。まず自分以外の共有者に買取しないかを打診し、それができない場合には、不動産業者に共有持分の買取を相談することになります。一般の不動産業者による共有持分の買取価格は、その不動産の市場価格に比べて、かなり安い価格になります。他の共有者の同意を得なければ共有不動産を活用できないため、そのリスクを考慮する必要があるからです。共有持分を専門に扱う不動産業者であれば、様々なノウハウがあり、リスクの軽減が見込めるため、一般の不動産業者よりも高く買い取ることが可能です。こんな方は、一度、査定だけでも頼んでみてはいかがでしょうか?共有不動産の売却や活用について他の共有者と合意できない他の共有者との関係がこじれ、話もしたくない相続で権利関係が複雑になり、共有者が不明共有者と連絡がとれない他の共有者に持分を買い取ってもらえない共有持分の買取なら、「訳あり物件買取プロ」㈱アルバリンクをおすすめします。共有持分の専門買取業者として実績が豊富。弁護士等と連携していますから安心です。共有持分の買取査定は、複数社に依頼して、査定額や業者の対応を比較することが大切。アルバリンクは、必ず査定依頼しておきたい業者です。\ 他社で断られた物件でも大丈夫! 全国どこでも無料査定 /「訳あり物件買取プロ」㈱アルバリンクの公式サイトはこちら関連共有持分分割請求の裁判を起こされたとき相続実家の共有持分の売却は要注意! 大損しないために大切なこと相続実家の共有を解消するには? 現物分割・代償分割・換価分割
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  • 裁判所
    共有物分割請求の裁判を起こされたとき
    親が死に実家を相続するときに、兄弟3人で3分の1ずつ持分登記。先日、不動産業者から共有物分割請求の裁判が起こされ、長男のもとへ訴状が送られてきました。どうやら、業者は、次男・三男から持ち分を買い取ったようです。こういう場合、長男はどうすればよいのか?共有者はいつでも共有物の分割を請求できる不動産を複数で共有する場合、共有者は、いつでも共有物の分割を請求できます(民法256条1項)。共有者同士で話し合いがつかない、または話し合いができないときは、共有物の分割を裁判所に請求できます(民法258条1項)。共有物分割請求訴訟は、裁判を通じて共有状態を解消する方法です。裁判所は、共有物の現物を分割する方法(現物分割)、または、共有者が金銭などを支払い、他の共有者の持ち分を取得する方法(賠償分割)を命じることができます(民法258条2項)。こうした方法で分割できないときは、裁判所は売って分けるように競売を命じることもできます(民法258条3項)。不動産業者は裁判でどんな主張をしてくるか?不動産業者からは、裁判で、金銭を支払って、長男の持ち分3分の1を取得したいと主張することが考えられます。業者の提示する金額次第では、業者に持ち分を売ってもよい、と考えるなら、妥当な金額か判断するため、別の業者に査定を依頼し、市場価格を調査します。裁判所からの呼び出しに応じなければ、競売などを命じる判決が出てしまう可能性もありますから、裁判には出席した方がよいでしょう。持ち分を買い取ってもらう場合は、裁判を通した価格交渉になります。弁護士が代わりに裁判に出席して、手続を進めることもできますから、弁護士に依頼することも検討してみるとよいでしょう。まとめ不動産の持ち分というものは、市場に売りに出しても買い手は付きません。持ち分だけ持っていても、残りの持ち分を持っている全ての所有者の同意を得なければ、その不動産を売ったり活用したりすることができないからです。ですから、共有持分を買うのは、他の共有者か、共有持分を専門に扱う買取業者くらいです。この例の場合、他の共有者(次男・三男)は、すでに自分の持分を業者に売っているので、長男も持分を業者に売るのが現実的でしょう。あとは持分の買取価格交渉です。持分の買取は、不動産の市場価格に比べて安くなります。相手の業者の提示額が妥当か、別の専門の買取業者に査定してもらうとよいでしょう。共有持分の査定を専門の買取業者に依頼するならこちらいずれにしても、裁判ですから、弁護士に相談することをおすすめします。\ 無料・簡単30秒 /共有持分の適正な買取価格を調べてみる関連共有名義の土地・家・マンションを自分の持分(共有持分)だけ売る
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  • ショック
    相続実家の共有持分の売却は要注意!大損しないために大切なこと
    親から相続した実家を、兄弟姉妹が均等の持ち分で共有するケースというのはよくあります。このような共有物件は、売ったり貸したりするのに、共有者全員の同意が必要です。共有者の1人でも反対すれば、売ることも貸すこともできません。共有物件は、共有者同士の関係が良好な場合は特に問題ないのですが、関係が悪化してしまうと厄介です。お金に困っていた弟が持分を売却した結果…実家を相続した山田さん(仮名)兄弟の例です。父親が亡くなり、実家を兄弟2人が相続することになりました。兄が、父親の近くに住んでいて、面倒をよく見ていたので、取り分を多く主張したのに対し、弟が反発。結果的には、2分の1ずつで決着したのですが…。弟は、お金に困っていたため、すぐに自分の持分を知り合いの会社経営者に20万円で売ったのです。弟が持分を第三者に売ってしまったことにより、兄は、相続した父親の家に住むことも、誰かに貸すことも、売ることもできなくなりました。このままでは、相続した家に資産価値はありません。結局、兄も自分の持分を不動産会社に売ったのです。その価格も20万円でした。こうして相続した家と土地は、わずか40万円で人手に渡ってしまったのです。その後、この家はどうなったか?兄から持分を買った不動産会社は、弟から持分を買った会社経営者から、2倍の値段で持分を買おうとしました。しかし、その会社経営者が応じなかったので、不動産会社は裁判所に共有物の分割請求の訴えを起こしたのです。裁判所が出した判決はこうです。不動産会社と会社経営者は、お互いが所有している2分の1ずつの権利を合わせて競売にかけること。競売の結果、その家は800万円で落札されました。不動産会社は、800万円を会社経営者と折半し、わずか20万円の元手で、400万円を手にしたのです。もし、山田さん兄弟が、相続した家を仲良く協力して売却していたら、どうなっていたでしょうか?競売になると、通常の不動産の売却に比べ、売却価格が安くなります。競売による売却価格は、市場価格の6~7割程度となるのが一般的です。つまり、通常の不動産売却ができていれば、1,000万円を超える価格で売却できていた可能性があったのです。共有持分を売却するのは損です。実家を共有で相続した場合は、共有者が協力して共有物件を売却し、売却代金を案分するのが理想です。あなたの相続実家は最高いくらで売れそうか、とりあえず調べてみませんか?\ 無料・簡単60秒 /相続した実家が最高いくらで売れそうか調べてみるまとめ実家を兄弟姉妹が共有で相続するケースはよくあります。ただし、共有物件は、共有者全員の同意がなければ、売ることも活用することもできません。なので、共有者が協力して、相続した実家を売却することが理想です。とはいえ、共有持分を売却せざるを得ない場合は、共有持分を専門に扱う買取業者に相談することが大切です。専門の買取業者の方が、共有持分を買取した後の活用方法につてノウハウがあるので、より高く買取することが可能です。\ 専門の買取業者が査定 /共有持分の適正な買取価格を調べてみる関連共有名義の土地・家・マンションを自分の持分(共有持分)だけ売る
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  • 相続実家の共有を解消
    相続実家の共有を解消するには?現物分割・代償分割・換価分割
    後藤さん(仮名)は、相続した実家をめぐって、弟2人と対立しています。同居していた母親が半年前に亡くなり、家と600万円の預金が残されました。相続人は、兄弟3人。預金は3分の1ずつ分けることで合意したのですが、問題は、後藤さんが母親と同居していた家です。3年前に父親が他界したとき、預金を母親が相続し、父名義だった家を兄弟3人が共有で相続しました。持分は、後藤さんが2分の1、弟2人が4分の1ずつです。今回の協議で、弟2人が家を売って代金を分けるよう求めてきたのです。しかし、実家に住み続けるつもりの後藤さんは売却に同意できません。どんな対応方法があるのでしょうか?共有を解消する方法不動産は現預金と違って分けるのが難しいため、実家を相続する際に、ひとまず法定相続人が共有で引き継ぐ、というケースが少なくありません。しかし、これがトラブルのもと。後藤さんのように、後々、持分の現金化をめぐって対立することが、よくあるのです。では、共有で相続した実家の共有を解消するには、どうすればいいのか?共有者はいつでも共有物の分割を請求できる各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができます(民法256条1項)。共有者から共有物の分割について請求があった場合、他の共有者は、その協議に応じなければなりません。ただし、5年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をしている場合は除きます(民法256条1項ただし書き)。共有物の分割方法共有を解消するには、次のような3つの方法があります。持分に応じて現物を物理的に分ける「現物分割」共有物を取得する人が他の共有者に代償金を渡す「代償分割」売却して代金を分ける「換価分割」どの方法で共有を解消するかは、共有物や共有者の状況などによりますが、それぞれ次のような点に注意してください。現物分割は、物件が1つだけの場合には物理的に分けることができないので困難です。代償分割をするには、物件を取得する人が一定の資金を用意することが必要です。換価分割は、家に住み続ける人がいる場合は困難です。現物分割、代償分割、換価分割の内容・注意点について、まとめておきます。分け方内容注意点現物分割共有物を共有持分割合に応じて物理的に分ける方法共有物が複数なければ困難代償分割共有物を取得する人が、他の共有者に代償金を支払う方法取得者に資金が必要代償金額でもめることがある換価分割共有物を第三者に売却し、売却代金を共有持分割合に応じて共有者で分ける方法住み続ける人がいる家には使えない売却価格や時期でもめることがある共有物分割請求訴訟共有物の分割について、共有者の間で協議が調わないとき、または協議をすることができないときは、その分割を裁判所に請求することができます(民法258条1項)。裁判による共有物の分割に関し、ぜひ知っておきたいことがあります。それは、2023年4月施行の改正民法に、代償分割が明記されたということです。これまでも、共有物分割請求訴訟において、裁判所が代償分割の判決を出すことはありましたが、それは判例にもとづくものでした。法律上の根拠がないため、裁判所が代償分割をどう検討するのか、どんな場合に代償分割の判断を示すのか、明らかでなかったのです。代償分割が法律に明記されたことにより、代償分割の位置づけが明確になったのです。民法改正で「裁判による共有物の分割」の規定はこう変わった2023年4月施行の改正民法で、「裁判による共有物の分割」についての規定は、次のように変わりました。旧民法258条分割について共有者の間の協議が調わないときは、裁判所に訴えを起こして、分割を請求することができる。前項の場合に、現物で分割することができないとき、または分割することによってその物の値打ちが非常に下がる心配があるときは、裁判所は競売するように命じることができる。※旧民法の条文は『改訂増補版 口語民法』自由国民社より改正民法258条共有物の分割について共有者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、その分割を裁判所に請求することができる。裁判所は、次に掲げる方法により、共有物の分割を命ずることができる。一 共有物の現物を分割する方法二 共有者に債務を負担させて、他の共有者の持分の全部又は一部を取得させる方法前項に規定する方法により共有物を分割することができないとき、又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは、裁判所は、その競売を命ずることができる。裁判所は、共有物の分割の裁判において、当事者に対して、金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることができる。旧民法では、裁判による共有物の分割方法として、現物分割と競売分割が挙げられており、裁判所はまず現物分割の可否について検討した上で、現物分割が困難な場合に競売分割を命ずることができるとされていました(旧民法258条2項)。現物分割が基本的な分割方法とされ、補充的に競売による換価分割が位置付けられていたのです。ただし、裁判では、裁判所の裁量により、分割方法の多様化・弾力化が進み、平成8年には、最高裁が法律に明文規定のない代償分割(=全面的価格賠償分割)を認めました。こうした中、改正民法では、裁判による共有物分割の方法として、「共有者に債務を負担させて、他の共有者の持分の全部又は一部を取得させる方法」すなわち代償分割が、現物分割とともに可能であることを明文化し(民法258条2項)、現物分割・代償分割のいずれもできない場合、または分割によって共有物の価格を著しく減少させるおそれがある場合には、競売分割(換価分割)を行うこととして、共有物の分割方法の検討順序を明確化しました(民法258条3項)。こうして改正民法の条文において、代償分割(=賠償分割)についての規律が整備されたのです。最高裁判例の変遷、分割方法の多様化・弾力化かつては、価格賠償による分割(共有物を特定の共有者に帰属させ、この者から他の者に対して持分の価格を賠償させる分割方法)を裁判所が命じることはできない、と考えられていました。裁判所がその裁量により判断するのは、現物分割ができる場合の分割方法についてであって、現物分割をすることができないときには、裁判所は競売分割を命じなければならない、と解されていたのです。※法務省 法制審議会民法・不動産登記法部会 第7回会議(令和元年9月24日開催) 部会資料10 共有制度の見直し(3)より共有物の分割方法について、多様化・弾力化が進む契機となったのは、次の2つの最高裁判決です。最高裁判所大法廷判決( 昭和62年4月22日)最高裁判所大法廷判決( 昭和62年4月22日)は、部分的価格賠償、一括分割、一部分割は、いずれも現物分割の一態様として許されると判示し、共有物の分割方法の多様化・弾力化が図られました。部分的価格賠償持分の価格を超える現物を取得する共有者に当該超過分の対価を支払わせて過不足を調整する一括分割数か所に分かれて存在する多数の共有不動産を一括して分割の対象とし、分割後のそれぞれの不動産を各共有者の単独所有とする一部分割多数の者が共有する物について分割請求がされた場合に、当該請求者に対してのみ持分の限度で現物を分割し、その余は他の者の共有とする裁判要旨民法258条により共有物の現物分割をする場合には、その一態様として、持分の価格を超える現物を取得する共有者に当該超過分の対価を支払わせて過不足を調整することも許される。数か所に分かれて存在する多数の共有不動産について、民法258条により現物分割をする場合には、これらを一括して分割の対象とし、分割後のそれぞれの不動産を各共有者の単独所有とすることも許される。多数の者が共有する物を民法258条により現物分割する場合には、分割請求者の持分の限度で現物を分割し、その余は他の者の共有として残す方法によることも許される。(最高裁判所Webサイトより)最高裁判所第一小法廷判決(平成8年10月31日)共有物を共有者のうちの1人の単独所有または数人の共有とし、これらの者から他の共有者に対して持分の価格を賠償させる全面的価格賠償の方法による分割をすることも許されるとして、価格賠償による分割を認めました。昭和62年大法廷判決によって認められた他の分割方法と異なり、この全面的価格賠償の方法は,現物分割の一態様として位置付けられたわけではないため、民法に明文のない方法として認められたと解されてきました。裁判要旨民法258条により共有物の分割をする場合において、当該共有物を共有者のうちの特定の者に取得させるのが相当であると認められ、かつ、その価格が適正に評価され、当該共有物を取得する者に支払能力があって、他の共有者にはその持分の価格を取得させることとしても共有者間の実質的公平を害しないと認められる特段の事情があるときは、共有物を共有者のうちの一人の単独所有又は数人の共有とし、これらの者から他の共有者に対して持分の価格を賠償させる方法(いわゆる全面的価格賠償の方法)によることも許される。(最高裁判所Webサイトより)部分的価格賠償と全面的価格賠償との違い部分的価格賠償と全面的価格賠償は、どちらも「価格賠償」という文言があり、「部分的」か「全面的」かの違いのように見えますが、両者は法的性質が異なります。部分的価格賠償は、現物分割の一態様です。共有物(現物)を物理的に分割した上で、持分の価格以上の現物を取得する共有者が、持分の価格を下回る現物しか取得しない他の共有者に、超過分の対価を支払い過不足を調整する方法です。金銭による価格調整を行いますが、前提として現物を分割するため、現物分割に含まれます。他方、全面的価格賠償とは、文字通り、全面的に金銭の支払いで解決するというものです。共有物を取得する共有者が、持分を手放す他の共有者に対価を支払い、共有を解消する方法です。共有物を取得する共有者は、債務を負担することになります。まとめ共有物の分割方法としては、現物分割、代償分割、換価分割の3つの分割方法があります。共有者間の話し合いで合意できないときは、裁判所に共有物の分割を請求することができます。共有物の分割を裁判所に請求した場合、当事者は判決に従わなければなりません。換価分割となると、実家を第三者に売却するため、競売を求められます。後藤さんの場合、共有物分割請求訴訟になると、代償分割が検討されますが、後藤さんが弟2人に代償金を支払えない場合は、競売分割が命じられることが考えられます。競売となると、売却価格が市場価格を大きく下回るため、売却を求めていた弟たち2人にとっても、当初想定していた金額を得られず、望まない結果となることもあり得ます。判決が当事者全員にとって納得できる内容になるとは限らないのです。ですから、訴訟になる前に共有者の間で協議を重ね、折り合える点がないか探ることが大切です。改正民法で定められた手順を参考に、まず現物分割や代償分割を検討し、それが難しければ換価分割を検討するのが一案となります。相続した実家の市場価格を調べてみる自分の持分だけ売ることもできますが…参考文献法務省 法制審議会民法・不動産登記法部会 第7回会議(令和元年9月24日開催) 議事録、部会資料10 共有制度の見直し(3)法務省 法制審議会民法・不動産登記法部会 第16回会議(令和2年8月4日開催) 議事録、部会資料37 共有関係の見直し(通常の共有関係の解消方法)法務省 法制審議会民法・不動産登記法部会 第16回会議(令和2年8月4日開催) 議事録、部会資料47 共有関係の見直し(通常の共有関係の解消方法)法務省 法制審議会民法・不動産登記法部会 第21回会議(令和2年11月10日開催) 議事録、部会資料51 民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)等の改正に関する要綱案のたたき台 (1)法務省「民法の改正(所有者不明土地等関係)の主な改正項目について」
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