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不動産譲渡所得税の計算において、取得費が不明の場合には、概算取得費控除を適用するのが一般的ですが、概算取得費控除は、売却価額の5%しか取得費として控除できないため、税金が高くなりがちです。
市街地価格指数や建築物単価など統計上の数値を用いて取得費を計算すると、実額に近い取得費を計算できるので、譲渡所得税がかからなくなるなど有利な結果になる場合があります。
ここでは、取得費不明のときに、市街地価格指数と建築物単価から取得費を計算する方法について見ていきます。
取得金額を証明できるものがなくても、取得した時期が分かれば、土地・建物の取得費を計算することができます。取得時期は登記簿から分かりますから、たいてい、この方法で取得費を計算できます。それは、統計データとして公表されている「市街地価格指数」や「建築物単価」を用いて計算する方法です。
これは、税務署が「市場価格を反映した近似値の取得費が計算でき合理的」と主張し、国税不服審判所の裁決でも「合理性がある」と判断された取得費の計算方法です。
国税不服審判所の裁決は、契約書などの証明書類がなく取得価額が不明な場合は、取得費を推計せざるを得ないとして、次のように述べています。
このような場合の土地・建物の取得費については、各種の計算方法が考えられるところ、原処分庁が採用した計算方法は、
から、いずれも合理性があり、当審判所においても、これを不相当とする理由は認められない。
(※ 国税不服審判所の裁決(2000年11月16日)より)
市街地価格指数を用いて取得費を計算する方法は、特にバブルのころに高値で購入した土地を売ったときなどに有効です。具体的に考えてみましょう。
例えば、1991年に購入した土地を2014年に5,000万円で売ったとします。
取得時と売却時の仲介手数料など諸費用は無視します。あくまでも、市街地価格指数を使った計算方法のイメージとして考えてください。
市街地価格指数は、六大都市(東京区部・横浜・名古屋・京都・大阪・神戸)の住宅地の指数を使ってみます。該当する年の市街地価格指数を抜粋すると、次の表のとおりです。
年 | 市街地価格指数(住宅地・六大都市) |
---|---|
1991年 | 223.4 |
2014年 | 77.1 |
※「市街地価格指数」より抜粋。2000年3月末=100
土地の取得費を市街地価格指数を用いて計算すると、
50,000,000 ×(223.4/77.1)= 144,876,783
取得費は、1億4,487万円となります。売却価額が5,000万円ですから、売却損が生じ、税金はかかりません。
一方、概算取得費だと、売却価額の5%ですから、取得費は、わずか250万円にしかなりません。
譲渡所得は、5,000万円から250万円を控除して4,750万円。長期譲渡所得となりますから税率は20%。譲渡所得税(住民税を含む)は、950万円となります。
実額の取得費で計算できれば、売却したら損失が生じて税金はかからないはずなのに、概算取得費控除だと、譲渡収入額から控除する取得費が極端に低く算定されてしまうため、計算上は売却益が生じ、税金を取られてしまうのです。
取得価額を証明する書類が何もなく、概算取得費控除では不利になる場合は、市街地価格指数などから、取得費を計算することができます。
市街地価格指数などを使って取得費を計算すると、実額の取得費に近い額を控除できるので、不動産を取得した当時の市場価格が高いときは、概算取得費控除に比べて有利です。
譲渡所得税の計算は、個別事情をふまえて判断する必要がありますから、詳しくは税理士に相談することをおすすめします。
査定や売却を依頼するとき、税金のことにも詳しい業者であれば安心です。
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公開日 2018-08-07 更新日 2023/08/23 11:34:28