不動産売却査定ガイド|家・土地・マンションを高く早く売るコツ

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  • 相続した築古実家を売るコツ
    相続した田舎の築40年以上の古い実家・空き家を売却するコツ
    田舎の築年数の古い空き家を売却するときは、ちょっとしたことで、売れやすくなったり、売れにくくなったりする場合があります。築40年以上の田舎の古い空き家を、余計な費用をかけずに、早く高く売却するコツをお伝えします。相続した田舎の実家を少しでも高く売却したい方、少しでも早く処分したい方は、ぜひ、ご覧になってみてください。たったこれだけの違いで多くの売主が損している!田舎の古い家は、相続したままの状態で、片付けや掃除をしなままで、売りに出されることも珍しくありません。しかし、そのことで損をしています。家財道具は撤去しなくてよいが、掃除は必要片づけや掃除をしているかどうかで、内見時の反応が違います。こざっぱりと片付いていれば、購入を前向きに考えることができますが、汚い物件は購入に至りません。そこでの生活がイメージできないし、不用品の撤去やリフォームにいくらかかるか分からず不安だからです。片付けや掃除をするといっても、家財道具を全て撤去する必要はありません。そこまですると手間も費用もかかります。荷物があっても、きちんと整頓され、きれいに掃除されていれば、それだけで印象は違うのです。それに、家財道具は置いておく方が良いのです。田舎の古い家を購入する方は、家財道具を使ってくれる場合があるからです。買主さんが必要な物は残し、必要でないものだけを処分することで、双方が費用面で助かります。早く売り抜けるほど、高く売れる不動産売却というのは、最初は相場より少し高めに売り出し、反応を見ながら販売価格を段々と下げていき、売れる価格を探るのが一般的です。なので、早く売れるというのは、高く売れるということでもあります。片付けや掃除をしておくことで、早く高く売れる可能性が高まるのです。高く売れるといっても、過度の期待は禁物。残念ながら、築年数の古い住宅に市場価値は、ほとんどありません。木造住宅であれば、築20年を超えると、建物の市場価値は、ほぼゼロと見なされます。築年数では市場価値がなくても、住居としての使用価値はあります。築30年や築40年の家でも住むことができます。なので、築40年以上の田舎の古い家でも、土地代に建物の使用価値がプラスαされた価格で売ることができるのです。もっとも、リフォームにかかる費用は、販売価格から値引きを求められます。傷みが激しいほど、大規模なリフォームが必要ですから、それだけ値引き幅が大きくなります。場合によっては、建物の撤去費用を負担せざるを得なくなってしまいます。売却に長くかかるほど、経年劣化が進み、売れにくくなり、売れたとしても安く買い叩かれてしまいます。その間の維持管理費もかかります(空き家の維持管理費はこちら)。売却までに時間がかかると、維持管理費も高くつきます。つまり、田舎の古い家は、正確な相場価格を知り、適正な価格で売り出し、早く売り抜けるほど、余計な費用をかけることなく高く売れるのです。相続した実家の正確な相場価格を知るには?築古でも建物を壊さずに売り出す方が売れやすい田舎の空き家は、築年数が古くても、建物を壊さずに売りに出すのが鉄則です。建物を解体して更地にすると、かえって売れにくくなります。古い建物など取り壊して、更地にしてしまった方が、新しく家を建てたり、駐車場等に使ったりできるので、用途の幅が広がり売れやすいように思えるかもしれませんが、田舎には安い土地はいくらでもあります。近年、豊かさの価値観が変わり、仕事や生活のスタイルが多様になり、地方の戸建て住宅が見直されてきています。特に、コロナ以降は顕著です。田舎の古い戸建て住宅に価値を見出す人が増えています。田舎の築古物件は、こんな人たちに人気田舎の古い戸建て住宅は、こんな人たちに人気です。密を避け、自然の豊かな環境の中で暮らしたい人田舎で家庭菜園をしながら、のんびり暮らしたい人都会の暮らしに疲れ、スローライフを楽しみたい人多拠点生活をする人田舎でセカンドライフを始めたい人子どもたちを伸び伸び育てたい人ペットを飼い、ペットとともに暮らしたい人更地に新しく家を建てるとなると、やはり費用がかかりますが、古くても建物が建っていれば、安く購入して、必要最低限のリフォームで住むことができます。自分でリフォームを楽しむ人たちも増えています。これが、更地にしてしまうよりも、古くても建物を残しておいた方が売れやすい理由です。更地にすると固定資産税が最大6倍に跳ね上がります。この点からも、建物を残したまま売る方がよいのです。相続空き家を解体するベストなタイミングについてはこちらをご覧ください。田舎の築古空き家が投資物件として注目されている投資物件として購入する人たちからも、田舎の築古戸建てが人気です。不動産投資というと、アパートや区分所有マンションが主でしたが、近年は、地方の戸建て住宅に投資する人も増えています。その理由は、地方の戸建ての賃貸に需要があるからです。しかも、アパート経営と比べて、物件購入費が安い、ランニングコストが安い、長く住んでもらえる可能性が高い、売るときに売りやすい、といったメリットがあります。地方の戸建て住宅なら、250万円~300万円くらいから購入することができます。もっと安く買える場合もあり、銀行で借りなくても自己資金で購入することも可能です。堅実な投資をしたいという人から人気なのです。アパートは、部屋を退去するたびに原状回復費用がかかるほか、共用廊下の電気代、共用部分の掃除、庭の草取りなど、何かと手間やコストがかかります。それに対して、戸建て住宅は、共用部分がありませんから、ランニングコストも手間もかかりません。1戸建ては、一度貸してしまえば、ほとんど手がかからないのです。さらに、アパートに比べて、長く住んでくれる傾向があります。また、入居者がいる状態で売れば、投資家に売ることもできます。場合によっては、入居者が購入を希望してくる場合もあるのです。戸建て住宅には、こうしたメリットがあるため、地方の戸建ての賃貸物件の需要が増加しているもとで、不動産投資をする方にも人気が高まり、そういう人に購入してもらえる可能性もあるのです。住宅ローンが使えない問題を解決すると高く売れる田舎の築古住宅は、買主が住宅ローンを使えない状態の物件が結構あります。住宅ローンを使えるかどうかは、買主にとってはもちろん、売主にとっても重要な問題です。買主が住宅ローンを使えないと、値引きせざるを得なかったり、売却のチャンスを失うことがあるからです。住宅ローンの審査を通りにくくしている土地や建物の問題を解決し、買主が住宅ローンを使えるようにすることで、より高く売却することができるようになります。なぜ、田舎の家は住宅ローンの審査が通りにくいのか?なぜ、田舎の古い家は、住宅ローンの審査が通りにくいのかというと、担保価値が低すぎるとか、越境や未登記の建物がある、地目が宅地でない、といった事情があるからです。具体的に、田舎の築古物件の問題点と対策を見ていきましょう。隣地との境界があいまい、越境がある田舎の古い家は、隣地との境界があいまいだったり、越境がある、というのは珍しいことではありません。しかし、売却するとなると、お互いに越境したり越境されたりしている部分について、解決しておく必要があります。越境を解消しないと、住宅ローンを借りることはできません。未登記の建物がある田舎の古い家の場合、納屋など未登記だったということがよくあります。未登記の建物があると、住宅ローンを借りることができません。未登記の建物を登記する必要があります。地目が宅地でない土地の地目が宅地でないと、ほとんどの銀行は住宅ローンを借りられません。例えば、敷地が雑種地や山林だったりすると、地目変更しないと、買主が住宅ローンを借りられない可能性があります。地目が農地の場合は、農地転用の手続も必要となります。ただし、地目が宅地でない場合でも、すぐに地目変更せず、買主が決まってから地目変更することをおすすめします。地目が宅地でなくても、貸してくれる銀行があります。また、土地が広い場合、全て宅地に変更すると、固定資産税が跳ね上がるからです。担保価値が低すぎる田舎の安い土地に築年数の古い建物が建っている場合、土地も建物も担保価値がないため、都銀やネット銀行は貸してくれません。地元の地銀や信金などを当たれば、住宅ローンを借りられる可能性があります。住宅ローンを使えない場合住宅ローンを使えない場合は、無担保住宅ローンを使う方法があります。無担保住宅ローンは、購入する土地や家に抵当権を設定しないので、土地や建物に多少の問題があっても、借主に支払能力があれば融資を受けられるのです。売値は安くていいから早く売却したいとき安くていいから、とにかく早く売却したい、処分したい、という場合は、不動産業者に買取してもらう方法があります。一般の売却よりも価格は安くなりますが、業者の査定価格(見積価格)で、家財道具等すべてひっくるめて買い取ってくれます。自分で片付けや掃除をする必要もありません。業者買取の場合には、仲介手数料も不要です。価格はいくらでもいい、とはいえ、やはり少しでも高く買い取ってもらいたいものです。そんなときは、複数の不動産業者に買取査定を依頼し、査定結果を比較するとよいでしょう。普通の売却の場合には、査定額で売却できるとは限りませんが、買取の場合には、査定額で買取してもらえます。一括査定を利用すると、業者同士で競い合いますから、一番高く売れる業者を簡単に見つけることができます。\ 一番高い買取価格が簡単に分かる /複数社に一括で買取査定を依頼する売却後に責任を負わないように売る方法売主は、自分が売った住宅に欠陥等があった場合には、契約不適合責任(以前の瑕疵担保責任)を負います。売った後で、雨漏りやシロアリの害などが見つかれば、修補や損害賠償を請求される可能性があります。古い家は、そのリスクが高いのです。売却後に責任を負わずに済む方法としては、2つの方法があります。契約不適合責任免責(以前の瑕疵担保責任免責)として売る方法と、古家つき土地として売る方法です。契約不適合責任を免責する特約は、売主が宅建業者や事業者でない限り有効に成立しますが、知りながら告げなかった事実については、責任を免れることはできません(民法572条)。古家つき土地として売る場合には、あくまでも土地として売るので、建物にいかなる欠陥があっても、そのことで責任を問われることはありません。古家つき土地や契約不適合責任免責で売るとよいのは、築古物件の場合です。あとで責任を負わなくて済むからと、築浅物件を古家つき土地として売ると、建物の価値はゼロと見なされます。また、築浅物件を契約不適合責任免責とすれば、何か欠陥があるのではないかと疑われ、売れなかったり安く買い叩かれたりしますから、ご注意ください。まとめ相続した田舎の古い実家を売却する場合には、正しい相場価格を知って、早く売り抜けるほど高く売ることができます。その際、建物が古く市場価値がないからと、解体してしまわないことが大切です。田舎の築古住宅に需要があります。更地にしてしまうと、かえって売りにくくなります。自治体が、空き家の有効活用を促進するため、仲介やリホーム費用の助成を実施しているところもありますから、自治体の仲介制度や助成制度を利用するのもよいでしょう。田舎の築古物件の査定・売却を依頼する業者の選び方なお、田舎の築古物件の売却は、地元の不動産業者に相談することをおすすめします。大手の方が売れやすいと思うかもしれませんが、田舎の売れるか売れないか分からない、売れたとしても、ほんのわずかの仲介手数料しか得られない物件など、大手が真剣に売却活動してくれることはない、と思っておいた方がよいでしょう。田舎の築古物件の売却に強い不動産業者を探すには、不動産一括査定「イエウール」の利用をおすすめします。全国の地元密着の不動産業者が多数登録していますから、あなたの物件を、一番早く高く売れる業者がきっと見つかるでしょう。\ 早く高く売却できる地元密着業者が見つかる /不動産一括査定「イエウール」を詳しく見てみる5年間売れなかった築50年の相続空き家を売却できた理由とは?5年間、売れる気配すらなかった築50年の実家が、あることがきっかけで、ついに売れた! どうやって売却できたのか? ⇒詳しく見る
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  • 相続空き家
    相続空き家(実家)を手放して国に引き取ってもらうには?
    相続空き家を手放し、国に引き取ってもらうには、法定相続人の全員が相続を放棄するか、相続土地国庫帰属制度を利用する方法があります。相続放棄は、すべての財産を引き継げなくなり、不要な土地のみを手放すということができません。また、法定の期限内に手続きをしないと、相続を承認したとみなされてしまいます。親の財産を相続した後で、不要な実家のみを手放したいときは、相続土地国庫帰属制度を利用することになります。では、相続土地国庫帰属制度を利用して、相続空き家を国に引き取ってもらうには、どうすればいいのか、詳しく見ていきましょう。相続土地国庫帰属制度を利用して相続空き家を手放す相続土地国庫帰属制度とは、相続した土地が不要な場合に、国に引き取ってもらえる制度です。2023年4月27日からスタートした制度ですが、それ以前に相続した土地も対象となります。鈴木さん(仮名)は、2020年10月に母親が亡くなり、実家を相続しました。しかし、県外に家があり、実家に戻って住むつもりもなかったので、売りに出したのですが、買い手は見つかりません。空き家の維持管理には、固定資産税や水道光熱費などで年間10万円ほどかかります。母親が亡くなって3年がたち、「このまま管理し続けるしかないのか…」と半ば諦めかけていたとき、相続土地国庫帰属制度のことを知ったのです。相続空き家を国に引き取ってもらう上で、まずやるべきこと相続土地国庫帰属制度を利用して、相続空き家(相続した不要な実家)を国に引き取ってもらうには、家屋を解体し、更地にする必要があります。建物があると、申請すら受け付けてもらえません。解体費用は、自己負担です。さらに、国庫への帰属が承認されたら、管理費相当額として負担金を国に納めなければなりません。鈴木さんの場合、建物の解体費・負担金あわせて約200万円となる見通しでした。年10万円ほどかかっている維持管理費の約20年分です。それでも鈴木さんは、「子どもに負担をかけるわけにはいかないので、国に引き取ってもらえるのはありがたい」と話します。国が引き取る土地の要件は厳しい国は、引き取る土地について、「建物があってはいけない」ということのほかにも、多くの要件を定めています。担保権や使用収益権が設定されている土地、他人の利用が予定されている土地、土壌汚染されている土地、隣地との境界が不明確で争いがある土地、なども申請することができません。さらに、樹木や石灯籠などがあったり、瓦礫やコンクリート片が埋まっていたりする土地、勾配30度以上で高さ5m以上の崖があるとか、地割れや陥没などがある、鳥獣や病害虫がいる土地なども、引き取ってもらえません。法務局に事前相談このように、土地の条件は複雑なので、相続土地国庫帰属制度を利用するときには、まず法務局に事前相談することをおすすめします。法務局では、所有している土地が条件に合うか、国に引き渡すことができそうか、作成した申請書類や添付書類に漏れがないか確認してほしい、といった個別の具体的な相談をすることが可能です。申請には建物がないことが前提ですが、事前相談の段階で建物が残っていてもかまいません。申請までに解体撤去すればよいので、とりあえず事前相談を申し込むとよいでしょう。事前相談は予約制です。「法務局手続案内予約サービス」Webサイトから予約できます。審査手数料・負担金申請には、土地1筆につき1万4千円の審査手数料が必要です。審査手数料は、申請が却下された場合でも返還されません。国が国庫への帰属(引き取り)を承認すれば、負担金が必要になります。負担金は、宅地、農地、山林といった土地の種類、どのような区域にある土地かによって、金額が決まります。例えば、市街地にある宅地であれば、面積に応じて算定式がきまっていて、約200㎡の宅地なら約200万円が目安です。市街化区域外にある宅地なら、面積にかかわらず原則土地1筆につき20万円です。相続空き家を国に引き取ってもらうには、一時的に費用が発生しますが、相続人が複数いる場合、分担すれば、1人当たりの負担は抑えられます。公平に分担し、それぞれが相続した財産から支払うようにするのがよいでしょう。将来、実家を手放すつもりなら相続土地国庫帰属制度を利用するには、土地の要件を満たす必要があります。相続した実家を国に引き取ってもらうためには、申請までに土地が要件を満たすようにしなければなりません。それには、手間も費用もかかります。将来、相続土地国庫帰属制度の利用を考えるのであれば、相続が発生する前から、親子で準備を始めるのがよいでしょう。親が自宅に居住している場合は、建物の解体はできないとしても、ほかにできることはあります。隣地との境界が明確になっているかをチェックし、隣地の所有者と境界争いがあれば早期に解決しておく必要があります。更地にする際の手間や費用を軽減するため、不要な家財は早めに処分し、庭木や庭石があるなら段階的に処分しておくことが大切です。まとめ「自分の代で解決しないと、子や孫の大きな負担になりかねない」――こんな思いから、相続土地国庫帰属制度の利用を考える人が増えています。相続土地国庫帰属制度は、相続した後で、不要な土地を国に引き取ってもらうことができます。ただ、引き取る土地の要件のハードルが高く、どんな土地でも引き取ってもらえるわけではありません。この制度を利用すれば、実家を相続したものの、売却することも活用することもできず、どうしようもなくて困っている場合に、建物を解体して更地にし、土地が国の定める要件に適合すれば、国に引き取ってもらうことができます。相続放棄以外に、不動産の所有権を放棄できる制度として、活用できますから、不要な相続空き家を持て余しているのであれば、利用を検討してみるとよいでしょう。ただし、必ずしも国に引き取ってもらえるとは限りません。手間や費用もかかるので、あくまで最後の手段です。その前に、できることをやっておきましょう。現在の資産価値を調べ、売却や活用方法を不動産業者と相談してみることをおすすめします。どうしても売却が難しい物件の場合は、売れにくい訳アリ物件を専門に買取している業者もありますから、そちらに相談し買取してもらう方法もあります。\ 無料・簡単60秒 /相続空き家の現在の資産価値を調べてみる訳あり物件専門の買取業者に査定を依頼してみるならこちら
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  • 相続実家の共有を解消
    相続実家の共有を解消するには?現物分割・代償分割・換価分割
    後藤さん(仮名)は、相続した実家をめぐって、弟2人と対立しています。同居していた母親が半年前に亡くなり、家と600万円の預金が残されました。相続人は、兄弟3人。預金は3分の1ずつ分けることで合意したのですが、問題は、後藤さんが母親と同居していた家です。3年前に父親が他界したとき、預金を母親が相続し、父名義だった家を兄弟3人が共有で相続しました。持分は、後藤さんが2分の1、弟2人が4分の1ずつです。今回の協議で、弟2人が家を売って代金を分けるよう求めてきたのです。しかし、実家に住み続けるつもりの後藤さんは売却に同意できません。どんな対応方法があるのでしょうか?共有を解消する方法不動産は現預金と違って分けるのが難しいため、実家を相続する際に、ひとまず法定相続人が共有で引き継ぐ、というケースが少なくありません。しかし、これがトラブルのもと。後藤さんのように、後々、持分の現金化をめぐって対立することが、よくあるのです。では、共有で相続した実家の共有を解消するには、どうすればいいのか?共有者はいつでも共有物の分割を請求できる各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができます(民法256条1項)。共有者から共有物の分割について請求があった場合、他の共有者は、その協議に応じなければなりません。ただし、5年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をしている場合は除きます(民法256条1項ただし書き)。共有物の分割方法共有を解消するには、次のような3つの方法があります。持分に応じて現物を物理的に分ける「現物分割」共有物を取得する人が他の共有者に代償金を渡す「代償分割」売却して代金を分ける「換価分割」どの方法で共有を解消するかは、共有物や共有者の状況などによりますが、それぞれ次のような点に注意してください。現物分割は、物件が1つだけの場合には物理的に分けることができないので困難です。代償分割をするには、物件を取得する人が一定の資金を用意することが必要です。換価分割は、家に住み続ける人がいる場合は困難です。現物分割、代償分割、換価分割の内容・注意点について、まとめておきます。分け方内容注意点現物分割共有物を共有持分割合に応じて物理的に分ける方法共有物が複数なければ困難代償分割共有物を取得する人が、他の共有者に代償金を支払う方法取得者に資金が必要代償金額でもめることがある換価分割共有物を第三者に売却し、売却代金を共有持分割合に応じて共有者で分ける方法住み続ける人がいる家には使えない売却価格や時期でもめることがある共有物分割請求訴訟共有物の分割について、共有者の間で協議が調わないとき、または協議をすることができないときは、その分割を裁判所に請求することができます(民法258条1項)。裁判による共有物の分割に関し、ぜひ知っておきたいことがあります。それは、2023年4月施行の改正民法に、代償分割が明記されたということです。これまでも、共有物分割請求訴訟において、裁判所が代償分割の判決を出すことはありましたが、それは判例にもとづくものでした。法律上の根拠がないため、裁判所が代償分割をどう検討するのか、どんな場合に代償分割の判断を示すのか、明らかでなかったのです。代償分割が法律に明記されたことにより、代償分割の位置づけが明確になったのです。民法改正で「裁判による共有物の分割」の規定はこう変わった2023年4月施行の改正民法で、「裁判による共有物の分割」についての規定は、次のように変わりました。旧民法258条分割について共有者の間の協議が調わないときは、裁判所に訴えを起こして、分割を請求することができる。前項の場合に、現物で分割することができないとき、または分割することによってその物の値打ちが非常に下がる心配があるときは、裁判所は競売するように命じることができる。※旧民法の条文は『改訂増補版 口語民法』自由国民社より改正民法258条共有物の分割について共有者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、その分割を裁判所に請求することができる。裁判所は、次に掲げる方法により、共有物の分割を命ずることができる。一 共有物の現物を分割する方法二 共有者に債務を負担させて、他の共有者の持分の全部又は一部を取得させる方法前項に規定する方法により共有物を分割することができないとき、又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは、裁判所は、その競売を命ずることができる。裁判所は、共有物の分割の裁判において、当事者に対して、金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることができる。旧民法では、裁判による共有物の分割方法として、現物分割と競売分割が挙げられており、裁判所はまず現物分割の可否について検討した上で、現物分割が困難な場合に競売分割を命ずることができるとされていました(旧民法258条2項)。現物分割が基本的な分割方法とされ、補充的に競売による換価分割が位置付けられていたのです。ただし、裁判では、裁判所の裁量により、分割方法の多様化・弾力化が進み、平成8年には、最高裁が法律に明文規定のない代償分割(=全面的価格賠償分割)を認めました。こうした中、改正民法では、裁判による共有物分割の方法として、「共有者に債務を負担させて、他の共有者の持分の全部又は一部を取得させる方法」すなわち代償分割が、現物分割とともに可能であることを明文化し(民法258条2項)、現物分割・代償分割のいずれもできない場合、または分割によって共有物の価格を著しく減少させるおそれがある場合には、競売分割(換価分割)を行うこととして、共有物の分割方法の検討順序を明確化しました(民法258条3項)。こうして改正民法の条文において、代償分割(=賠償分割)についての規律が整備されたのです。最高裁判例の変遷、分割方法の多様化・弾力化かつては、価格賠償による分割(共有物を特定の共有者に帰属させ、この者から他の者に対して持分の価格を賠償させる分割方法)を裁判所が命じることはできない、と考えられていました。裁判所がその裁量により判断するのは、現物分割ができる場合の分割方法についてであって、現物分割をすることができないときには、裁判所は競売分割を命じなければならない、と解されていたのです。※法務省 法制審議会民法・不動産登記法部会 第7回会議(令和元年9月24日開催) 部会資料10 共有制度の見直し(3)より共有物の分割方法について、多様化・弾力化が進む契機となったのは、次の2つの最高裁判決です。最高裁判所大法廷判決( 昭和62年4月22日)最高裁判所大法廷判決( 昭和62年4月22日)は、部分的価格賠償、一括分割、一部分割は、いずれも現物分割の一態様として許されると判示し、共有物の分割方法の多様化・弾力化が図られました。部分的価格賠償持分の価格を超える現物を取得する共有者に当該超過分の対価を支払わせて過不足を調整する一括分割数か所に分かれて存在する多数の共有不動産を一括して分割の対象とし、分割後のそれぞれの不動産を各共有者の単独所有とする一部分割多数の者が共有する物について分割請求がされた場合に、当該請求者に対してのみ持分の限度で現物を分割し、その余は他の者の共有とする裁判要旨民法258条により共有物の現物分割をする場合には、その一態様として、持分の価格を超える現物を取得する共有者に当該超過分の対価を支払わせて過不足を調整することも許される。数か所に分かれて存在する多数の共有不動産について、民法258条により現物分割をする場合には、これらを一括して分割の対象とし、分割後のそれぞれの不動産を各共有者の単独所有とすることも許される。多数の者が共有する物を民法258条により現物分割する場合には、分割請求者の持分の限度で現物を分割し、その余は他の者の共有として残す方法によることも許される。(最高裁判所Webサイトより)最高裁判所第一小法廷判決(平成8年10月31日)共有物を共有者のうちの1人の単独所有または数人の共有とし、これらの者から他の共有者に対して持分の価格を賠償させる全面的価格賠償の方法による分割をすることも許されるとして、価格賠償による分割を認めました。昭和62年大法廷判決によって認められた他の分割方法と異なり、この全面的価格賠償の方法は,現物分割の一態様として位置付けられたわけではないため、民法に明文のない方法として認められたと解されてきました。裁判要旨民法258条により共有物の分割をする場合において、当該共有物を共有者のうちの特定の者に取得させるのが相当であると認められ、かつ、その価格が適正に評価され、当該共有物を取得する者に支払能力があって、他の共有者にはその持分の価格を取得させることとしても共有者間の実質的公平を害しないと認められる特段の事情があるときは、共有物を共有者のうちの一人の単独所有又は数人の共有とし、これらの者から他の共有者に対して持分の価格を賠償させる方法(いわゆる全面的価格賠償の方法)によることも許される。(最高裁判所Webサイトより)部分的価格賠償と全面的価格賠償との違い部分的価格賠償と全面的価格賠償は、どちらも「価格賠償」という文言があり、「部分的」か「全面的」かの違いのように見えますが、両者は法的性質が異なります。部分的価格賠償は、現物分割の一態様です。共有物(現物)を物理的に分割した上で、持分の価格以上の現物を取得する共有者が、持分の価格を下回る現物しか取得しない他の共有者に、超過分の対価を支払い過不足を調整する方法です。金銭による価格調整を行いますが、前提として現物を分割するため、現物分割に含まれます。他方、全面的価格賠償とは、文字通り、全面的に金銭の支払いで解決するというものです。共有物を取得する共有者が、持分を手放す他の共有者に対価を支払い、共有を解消する方法です。共有物を取得する共有者は、債務を負担することになります。まとめ共有物の分割方法としては、現物分割、代償分割、換価分割の3つの分割方法があります。共有者間の話し合いで合意できないときは、裁判所に共有物の分割を請求することができます。共有物の分割を裁判所に請求した場合、当事者は判決に従わなければなりません。換価分割となると、実家を第三者に売却するため、競売を求められます。後藤さんの場合、共有物分割請求訴訟になると、代償分割が検討されますが、後藤さんが弟2人に代償金を支払えない場合は、競売分割が命じられることが考えられます。競売となると、売却価格が市場価格を大きく下回るため、売却を求めていた弟たち2人にとっても、当初想定していた金額を得られず、望まない結果となることもあり得ます。判決が当事者全員にとって納得できる内容になるとは限らないのです。ですから、訴訟になる前に共有者の間で協議を重ね、折り合える点がないか探ることが大切です。改正民法で定められた手順を参考に、まず現物分割や代償分割を検討し、それが難しければ換価分割を検討するのが一案となります。相続した実家の市場価格を調べてみる自分の持分だけ売ることもできますが…参考文献法務省 法制審議会民法・不動産登記法部会 第7回会議(令和元年9月24日開催) 議事録、部会資料10 共有制度の見直し(3)法務省 法制審議会民法・不動産登記法部会 第16回会議(令和2年8月4日開催) 議事録、部会資料37 共有関係の見直し(通常の共有関係の解消方法)法務省 法制審議会民法・不動産登記法部会 第16回会議(令和2年8月4日開催) 議事録、部会資料47 共有関係の見直し(通常の共有関係の解消方法)法務省 法制審議会民法・不動産登記法部会 第21回会議(令和2年11月10日開催) 議事録、部会資料51 民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)等の改正に関する要綱案のたたき台 (1)法務省「民法の改正(所有者不明土地等関係)の主な改正項目について」
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